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登録日:2024/05/16 (木曜日) 21 55 00 更新日:2024/05/27 Mon 22 14 12NEW! 所要時間:約 53 分で読めます ▽タグ一覧 ※少年漫画のキャラです この世のすべての悪 まさに外道 やべーやつら エゴイスト チート チームワーク皆無 トラウマメーカー トラウマ製造機 ド外道 ハーメルン ハーメルンのバイオリン弾き パワハラの絶えぬ職場 マジキチ 世界征服 人類の敵 人食い 侵略者 倫理観ゼロ 共存不可能 千憶の絶望 外道だらけ 大魔王ケストラー 存在してはいけない生き物 実力至上主義 害獣 弱肉強食 快楽的殺人主義民族 悪の組織 悪意の塊 悪魔 戦闘民族 所要時間30分以上の項目 月刊少年ガンガン 楽器 残虐非道 渡辺道明 滅ぶべき存在 漫画 濃すぎるキャラクター性 生きている者の敵 生まれながらの悪 異種知性体 相互理解不可 笑顔の絶えない職場 純粋悪 絶対悪 聖杯 腐れ外道 自分が悪だと標榜して恥じない邪悪を通り越した極悪 邪悪 邪悪の権化 魔族 魔物 魔王 魔王軍 魔界 魔界軍王 “鳥”などではなく… 漆黒の闇でもなく… あれこそ… まさに… 千億の絶望──── この項目では漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』に登場する魔族を解説する。 ●目次 概要 種族として「魔力」と「寿命」 エアシュテルベント北の都ハーメルン 用語 キャラクター魔王 魔界軍団冥法軍 幻竜軍 妖鳳軍 超獣軍 悪魔軍 配属先不明 その他 余談 概要 魔界と呼ばれる場所を故郷とし、全人類を駆逐して世界を征服し、魔族の国を建国すべく世界中で破壊と殺戮を繰り広げている作中の人類最大の怨敵。人類からは「千億の絶望」「この世の全ての悪」と恐れられる。 なお「魔物(モンスター)」の概念も登場したが、魔族も読み方はモンスターなので魔物と魔族の明確な区別は不明瞭。 価値観が極めて多様化した現在のサブカルチャーにおいて、時には人間と共存したり、理解し合ったり、友愛を育んだりする魔族はもはや珍しくないが、本作では極々一部を除いて 軒並み反吐の出る屑・ド外道・卑怯者・チンピラ・快楽殺人鬼しかいない残虐非道の悪意の化身 として描かれているのが大きな特徴。古くからある「人類に仇なす邪悪な怪物」としての魔族をより極端にした連中ともいえる。 また基本的にどいつもこいつも人格が悪意に満ち性根が腐りきっている関係上、正々堂々とした高潔な武人タイプのような少年漫画定番の敵キャラは存在しない。(*1) 作中では魔族に永遠の魔力を齎す支配者・大魔王ケストラー復活を宿願として暗躍しており、ケストラーの子であるハーメルへの干渉を繰り返した。 また同時に自分達に抵抗する人類国家に積極的に戦争を仕掛けて、全世界で破壊と殺戮の限りを尽くしている。 種族として 殺戮と破壊に喜びを見出し、弱者を軽んじ、力こそが絶対の実力至上主義の価値観が幅を利かせる人喰いの戦闘種族であり、オーボウによれば「相手の弱身につけこみ欺き陥れウムをいわさず服従させること」が魔族の本質と語る。 彼等にとって人を殺すことは本能に等しい。 魔族は人間の苦しみ・恐怖・憎悪・血肉を糧として魔力を高めることができ、魔族にとって人を苦しめて殺すことは「食事」であり「魔力や快楽を得る手段」であり「娯楽」であり「文化」である。 人類を虫ケラ以下の下等生物扱いして見下し、遊び半分で人間を嬲り殺したりゲーム感覚で殺戮することは魔族にとってのごく当たり前の一般常識。人間に対する認識は一律「餌」に過ぎない。 実際侵略した人類の国の生き残りを狙った人間狩りゲームを軍王が率先して行って楽しんでおり、ケストラーも「人間をいっぱい殺せることは喜ばしい事」「殺すための連中(もの)」「殺人は魔族にとっての当然の権利(要約)」などと断言している。 後述のように初期のころは金品や食料の略奪を行っていた野良魔族もいるが、苦しみや殺戮に伴うおまけでしかないのだと思われる(設定が固まっていなかっただけかもしれないが)。 逆に人殺しを忌諱したり人類に慈悲を向ける思想は異端中の異端であり「最低」と唾棄されるばかりか、空気が読めない奴或いは精神異常者と言わんばかりに白い目で見られる。 生物が持つ「番を得て子孫を増やす」といった概念も極めて希薄。結婚して子供まで作ったオーボウは「変わりもんだぜェ」とドラムに揶揄されるほど異端視されていた。 ケストラーも「想い」や「優しさ」といった概念は魔界に存在しないものとし、魔族が人間に石を投げられるなどして迫害されることは当然のことだと肯定。人殺しの快感が苦痛になることに対して逆に不満と嫌悪を向けていた。 とはいえ、そんな風評を黙らせられるだけの実力さえあれば迫害はされないため、オーボウが長らく魔界軍王の座に居れたのも単純にオーボウが圧倒的に強かったからに他ならない。 ちなみに美的感覚や味覚は人間と同質。 普通の人間が美しいと思えるものは素直に美しく感じるし、普通の人間が汚いと思うものは彼らもまた汚く感じることができる。 人間の血肉がこの上なく美味しいだけであって、人肉以外にも酒を趣向品として嗜む場合もある。 人の情愛に絆された結果改心し「人間の心」を得る者も極少数派だが現れた場合もあり、やたら人間臭い部分がよく現れているのも特徴である。 逆を言えばやたら人間臭いからこそ人間の苦しみを理解し、人間がより深く絶望して苦しませるための手法や発想を思いついて実行に移せるのかもしれない。 「魔力」と「寿命」 強大な力を持ち数千年の時を平気で生きる魔族だが、「魔族」という種の唯一にして最大の欠点として魔力=生命力であることが挙げられる。 魔族の魔力回復は自力では行えず、魔力は使えば使う程減る一方であるため、軍王や副官クラスの強大な魔族は魔力消費速度が速い関係から基本的に魔力を著しく消費する真の姿になることは不可能。 よって強い魔族ほど力を抑えた仮の姿で活動することを強いられる。(*2)強い魔族であるほど北の都から遠くへ長く離れられない状況に陥っているという。北の方が魔族が蔓延っているのもそういう理由である。 そして自身の魔力を使い果たしたら最後、全身がヒビ割れ粉々になった末に塵に還ってしまう。 この現象は「寿命」と呼ばれ、これが魔族にとっての明確な死となる。 この寿命による肉体崩壊は原則不可逆。 ケストラーが不在の場合、癒すには強い魔力や法力を持つ者の生き血を呑み魔力を補充するしかないが、これは対処療法でしかない。 またケストラー側から任意で魔力供給を遮断することも可能なので、魔族はケストラーに生殺与奪の権利を握られていることも意味している。 逆を言えば安定した魔力供給がある限り魔族は魔力切れを起こさなくなり、魔族は永遠の命(=不死)を得ることを意味する。 エアシュテルベント 劇中世界の北部にある大陸。灰色の空と吹きすさぶ北風が特徴。 地理としては海に囲まれた島のような大陸であり、上から 『絶望の大陸』エアシュテルベント大陸 『死の大陸』フーネブレ大陸 『魔の大陸』ドレント大陸 の順で北に近づいていく。ちなみに北に近づくにつれ大陸のサイズも小さくなっている。 北の都ハーメルンが近いこともあり北部は完全に魔族の支配圏。 生命の息吹がまともに感じられないほど荒れ果てた荒野や魔族に滅ぼされた国の廃墟があちこちに広がり、エアシュテルベントから人類のまともな文明圏は存在しなくなる。 一応人間が居住する村もあるにはあるがまともな食糧にはありつけず、常に人類は魔族に殺される恐怖に怯え、いたるところに磔にされて処刑された人間の骸が夥しく広がる悲惨な光景が広まっている。 エアシュテルベントに近い土地の人々からは「死者の赴く所」「魔族の巣」「地獄よりひでェ所」「この世の果ての始まり」などと恐れられ近づくことすら忌み嫌われていた。 北の都ハーメルン 北の果てにある第3の大陸「ドレント大陸」に建造された、ケストラーの座す魔族の本拠地。別名「絶望なる魔都」。 空は常に暗雲が立ち込め、巨大な針山を連想させる膨大な数の尖塔が特徴的な魔城が存在する。 地形等を見る限り、大陸を丸ごと魔族の本拠地に改造したようにも見え、街並みはどこか近未来のメガロポリスめいている。 魔界軍の本隊が配備されているのも此処で、魔族にとってある種の国家的な側面も持つ。 ……が、魔族の性質上殺戮や戦いとは関係のない文化・技術は全くと言っていいほど発展しておらず、ケストラーの絶対的な恐怖支配もあって、都には経済活動、政治、行政といった概念は皆無。 その分ファンタジーに似つかわしくない近代的な機械設備が随所に散見され、軍事技術だけが高度に発展しているアンバランスな光景が広がっている ドレント大陸に上陸する前の段階であっても対岸から魔界軍の集中砲火を喰らうため、魔界軍本隊の攻撃と合わせてそもそも上陸自体が極めて困難である。 死の牢 ハーメルンの魔城の中にある、世界中から大量に連行しててきた罪のない人間を捕らえるための収容所。(*3) 囚人達はまともな衣食も与えられず魔族に奴隷のようにこき使われ、虐待された末に玩具感覚で惨たらしく殺されていく地獄の生活を強いられる。 こうして捕らえられ虐げられ続けた人類は絶望の果てに「人間とは魔族に死を与えられる餌に過ぎない」という終末思想に染め上げられて生きる事や希望を持つことを諦め、魔族に理不尽に殺されることを無条件で受け入れてしまう。(ギータ曰く「調教」。) また城内にはケストラーの玉座もあるため、ケストラーが食事を始めると巻き込まれて彼等も死ぬ。 ちなみに囚人の血はかなり不味いらしく、演技とはいえ囚人の血を飲んだギータはその後「あーまず…だいたい何喰って生きてきたんですか」「喉を潤す水代わりにもならないとは」とキレながら斬り殺して血を飲んだ囚人の死体を踏み躙っていた。 用語 魔界軍王 ケストラー直属の部下で、魔界軍の各軍を束ねる魔族の将軍達。 冥法王ベースをリーダーとして概ね4人体制で軍を運営しており、その圧倒的強さから人類には恐怖の象徴として恐れられている。要は悪の四天王ポジション。 部下からは厚い忠誠を誓われているが、軍王間での仲間意識の類は希薄。 どの時代でも基本的に空気はギスギスムード。いつもお互いに憎み合いいがみ合い、日々陥れることを虎視眈々と狙い続ける殺伐とした関係で、繋がっているのもケストラーとベースによる力での支配に加え、利害関係の一致程度のものでしかない。 灰色の丘 恨むんならこの弱っちいくせに オレたち魔族に歯向かった…こいつらにゆーんだなぁー! 魔族に逆らった野郎は皆こーなんだ…磔よぉーーー!! 魔族に逆らった人間や国家の軍人が、見せしめのために生きたまま十字架に磔にされて殺された末に白骨化した人間達の骸が地平線の彼方まで広がる地獄のような丘。 エアシュテルベントの真ん中あたりから発生し、北に近づけば近づくほど灰色の丘のような骸はその数を増していくため、サイザーによればこれらは珍しい光景ではないとのこと。 また丘の地面の下にはおびただしい数の人骨が埋もれている。 処刑対象は老若男女問わずであり、ただ杭を手足に打ち付けられた死体よりもモズの早贄のように脳天から串刺しにされた惨殺死体の方が多い。 当然魔族が処刑した人間を律儀に磔にするはずもなく、死体を磔にして十字架を立てる労働は全て死の牢の囚人たちの仕事。 「人間が魔族には向かったせいでお前らはこんな労働を強いられている(要約)」と魔族に罵られながら馬車馬の如く休みなしでこき使われ、作業効率が落ちれば鞭でしばかれ、仮にノルマを達成できなければ監督役の魔族の手により容赦なく殺されることになる。(*4) 聖杯 魔族に古くから伝わる魔力回復方法。 作中の描写で言えば人間魔族問わず、他者の血肉や魂を喰らえば喰らう程魔族の魔力が回復、あるいは高まって強化されていくというもの。 ケストラーからの魔力供給を除けば、魔族にとっては唯一無二の魔力回復法となり、回復量は犠牲者の強さに正比例。 優れた強者であればあるほど効果が高まり、更に力ある人間の血は魔族にとって美味な御馳走扱いされている。 ケストラーによれば対象が抱える苦しみと憎悪が強いほど生き血の味と質は良くなるという。 反魂の術 老いた魔族を蘇らせ、死者を蘇らせる呪法。 殺した人間の魂を抜き、その死体に術者の魔力の塊を埋め込むことで術者の意のままに動く操り人形に仕立て上げられる。 犠牲者のスペックや技能をフル活用できるため、強大な人間の力を丸ごと奪う事にもなる。 また術者の魂を影響をダイレクトに受けてしまうため、中盤この術の犠牲となったサイザーは術者であるヴォーカルの生き写しとばかりに殺戮を愉しみ暴走する残虐非道の性格と成り果てた。 魔の冥界 オル・ゴールが語った死後の世界の概念。 魔族によって苦しめられて死んだ人間の魂は通常と違って成仏できず、死霊となって冥界に引きずり込まれ死後も永遠に苦しむ責め苦を受ける羽目になる。 死霊たちが味わう苦しみが魔族の餌となるので、よって魔族の被害者は例え死んでも安息が訪れることはない。 オル・ゴールが冥界の魂を管理していたのか、オル・ゴールの死に連動して冥界に縛られていた人々の魂は皆成仏することとなった。 キャラクター 膨大な数の魔物と魔族が出現する今作であるが、意外にもネームドキャラクターは少ない。 魔王 大魔王ケストラー おまえたちは北へ私を倒しに来たのではない… 後継者になるためでもない… “聖杯(えさ)”になるために来たのだよ!!! CV:うえだゆうじ 本作のラスボス。 絶対的な力で魔族を支配する大魔王であり、主人公ハーメルとサイザーの実の父親。 「魔族の覇王」「殺戮と破壊の王」と呼ばれ、人類からも魔族からも恐れられる少年漫画史上トップクラスの下衆。 またケストラーは魔力の源でもあり、ケストラーが存在している間魔族は常に魔力供給を受けられ、寿命による死に悩まされることもなく永遠の命を得ることができる。 名前は「オーケストラ」の捩り。 詳細は個別項目を参照。 魔界軍団 「魔界軍」とも略されるケストラーを頂点とする魔族の正規軍。現在の総指揮官は冥法王ベース。 4つの軍団に戦力が分かれているのが大きな特徴で、兵隊は野良の魔族(魔物)とは比べものにならないほど強い。 そして軍を束ねる強大な魔族の将軍は「魔界軍王」の称号を与えられ、その強さから人類に恐れられる。 数十万もの兵隊と大隊規模・師団規模の大軍勢を多数擁する他、戦車や空中戦艦などの高度な機械兵器を保有しているが、魔族は基本的に兵器よりも自分の魔力と腕っぷしに絶対的な比重を置いているため、携行武器は概ね近接武器ばかりとなっている。 「軍」ということで統制こそ取れており上の者からの命令には服従するものの、魔族の性質上モブ兵士のような格下の魔物は上に立つ強者の気分次第で理不尽に命を奪われるピラミッド構造も特徴。 実力至上主義故の若干の悲壮感こそあるが、一度戦場に赴けば兵士たちは北斗の拳のモヒカンの如きチンピラ感丸出しの残虐非道っぷりで殺戮と破壊を繰り返し、人類を虐げて魔族としての生を満喫する。 当初は4軍団に分かれていたが人類との最終決戦を前に全軍が統合されたようで、様々な魔族の混成軍団となってハーメル一行及び人類と決戦を迎えた。 作者によればイメージ曲はホルストの組曲「惑星」の中の1曲「火星-戦争の神-」。 冥法軍 スケルトンなどアンデッド系の魔族で構成された軍隊。 十字架型のUFOのような空中戦艦「皇帝の十字架(カイゼルクロイツ)」を戦力として有する。 他の軍とは異なり北の都を離れて部隊単位で戦場に赴くことはあまり無かったため、四大軍団の中でもモブ兵の扱いは最も地味。 冥法王(ヘル・キング)ベース まさに…“想い”という死の道を逝く… 巡礼者たち…だな……… CV:緒方賢一(ドラマCD・劇場版)/石塚運昇(テレビアニメ) 『冥法軍』及び魔界軍全体を束ねる魔界軍王No.1。 「地獄の王」「冥王」「ケストラーの右腕」「大魔王の懐刀」などの異名を持ち、ケストラー不在の状況下で魔界の全指揮権を与えられた魔界軍の最高指揮官。 また幼いハーメルの目の前でパンドラを水晶に閉じ込め連れ去った張本人で、ハーメルにとってはケストラーと並ぶ因縁の宿敵と呼んでいい存在。 ビジュアルは黒い軍帽を被る隻眼で青ざめた顔のオッサンの生首を手に持った黒い軍服を着込んだ美青年だが、本体はオッサンの首の方。 首を持った青年は、第一次スフォルツェンド大戦で戦死し、魂を抜かれたフルートの兄リュートを反魂の法で蘇生させた死体である。 しかし第二次スフォルツェンド大戦では窮地に瀕したクラーリィ達をリュートが援護し、フルートの不幸を心中で嘆くなど完璧にベースの制御下にあるというわけではなかった。 ケストラーに次ぐ実力を持つ冷酷な策謀家であると同時に強大な魔法・呪法の使い手で、依代であるリュートの肉体と彼が持つ強大な法力、生前リュートが習得した魔法を悪用する形で戦う。 リュートの肉体を得る以前の身体は寿命間近であったが、それでもリュートの全力の攻撃を苦も無くいなして完勝する高い戦闘力を持っていた。 また冥界の支配者らしく生命力も高く、首から下が全て焼き尽くされて消滅したとしても特に何の支障もなく生存できるほどである。 欠点は現在の本体はあくまで生首なので、依代の身体となる存在がいなければ無力に等しいという点。 ※術技 冥刻屍鎖封陣(ヘル・ファントムズ・ジェイル) 「鉄鎖封印結界魔法」と呼ばれる術でベースの得意魔法。 「封」の文字が描かれた魔力を吸い相手の力を1/10にまで低下させてしまう鉄球付きの枷を相手の四肢に憑りつかせて動きを封じることができる。 ただしブチ切れたオーボウの前にはわずかな時間稼ぎにしかならなかった。 ヴォーカルを拘束していた枷と同じものなので、ヴォーカルにも同様の術を仕掛けた模様。 巨大魔法陣(仮称) ドラム死霊の肉体を巡らせて作った魔法陣にギータの魔剣を撃ちこみ、リュートの法力を用いることでベースが発動した北の都全体を飲み込む巨大魔法陣。 中にいる人間の生命力や法力を強制的に吸い上げケストラーに供給する聖杯の機能を持ち、抵抗力のない者は瞬時にミイラ化して死ぬ。 人類史上最大と謳われたリュートの規格外の法力を利用しているだけあって、生半可な防御結界は無意味。「万が一耐えられたとしても人間の弱体化を引き起こさせ魔族側に形勢を逆転させられる」という副次効果まである。 劇中では聖女の資質を発揮し始めたフルートの強大な法力の加護で漸く悪影響を軽減できたとんでもない呪法である。 オーボウ曰く「魔法陣の鳥カゴ」。 一人称は「ワシ」。 ケストラーに絶対の忠誠を誓う忠臣であり、性格は魔族の例に漏れず冷酷非情。 軍の規律に厳しく、命令に反した者や失敗した者には容赦なく制裁を科す冷徹な合理主義者で、依代としているリュートの骸も含めて人間のことは道具としか看做しておらず、人間を欺き殺すことにも何の躊躇いもない。 強大な力を持つ一方で合理主義な面が祟ったのか結構な堅物。 ケストラーとは違い人の情や想い、献身といった概念を一切理解できず難色を示し、それらの感情を基にして魔族に抵抗し傷ついて苦しむ様を「絆という名の殉教の道」「無駄」と見下して冷笑していた。 ただし我の強い魔族たちを束ねなければならない関係から軍王間の争いの仲裁など中間管理職的な気苦労もしている。 加えて本作では貴重なケストラーと並ぶギャグシーン皆無の敵の1人。鉄面皮な所が多いものの、テンションが上がったり精神的に余裕がない時はコロコロ表情を変えるので案外表情豊か。 ベースの心象を反映してかリュートの肉体も割と表情を変えることが多い。 最終決戦では彼が敷いた呪法を止めるべく挑んだクラーリィ及びフルートと対峙。 リュートの強大な力を駆使して一方的な戦いを繰り広げ、クラーリィらに随伴していた戦力のみならず、途中参戦したスフォルツェンド聖十字軍王家親衛隊(クルセイダーズ)をも片手間に蹂躙して壊滅させた。 更にフルートには母親のホルンが回復魔法の酷使によって寿命を擦り減らし使い切ってしまったため死亡したと明かして精神的な揺さぶりを仕掛け、クラーリィ本人の四肢も破壊するなど完全な優位に立つ。 終盤リュートの肉体を酷使しすぎた事でリュートの肉体に限界が来たと明かした上でフルートを新たなる肉体として奪う目論見を明かし、「この冥王の手足となり利用される運命にある」とスフォルツェンド王家を嘲笑いながらフルートを甚振るも、突如リュートの死体の一切の制御が効かなくなったことに動揺。 威厳を取り繕うこともできず、フルートがベースの眼帯に隠されていたリュートの魂を無防備な状態にし、ダメ押しとばかりに死したホルンの魂のサポートを受けたクラーリィの手によってリュートの魂を骸に戻されるという逆転の一手を受けたことで完全に形勢が逆転。 そのまま部下を一掃された挙句メギドの火により焼き尽くされ滅び去った。 馬鹿なあ 人間なぞ… 人間なぞ…魔族によって生かされている…生贄(えさ)のようなもの…… 魔族…が人間を支配…して…ギャアアア! 冥王…が…この…め… 人間ごとき…に… それでも残留思念の死霊となってしぶとく現世に居座り、ケストラーの前に行かんとしたハーメルとトロンの前に出現。 大魔王の手によって無惨に哀れに死んでいくと見苦しくも予言するが、ギータに「燃えカス」と吐き捨てられながら斬って捨てられ、ギータへの恨み節を言い切ることもできず今度こそ完全に消滅した。 名前は弦楽器の一種「ベース」から。 オル・ゴール ハハハ どウダイ…!! “苦しみ”を 笑顔に… 楽しくゆかいな… 狂気の世界へ…!! これがボク… 地獄の道化師オル・ゴールの… 大サーカスだよ!! あー楽しィ ハーハハハァ! 冥法軍No.2。 「死のオル・ゴール」「死神(ジョーカー)」「冥界の道化師(ピエロ)」等といった数々の異名を持つベースの副官。 風貌は全身タイツで赤鼻の付いたピエロの仮面をかぶった道化師で、素顔は童顔の美少年。だが実はピエロの仮面が本体なため、肉体の外見は自在に変えられる。 現在のベースの身体はサイザーが初めて滅ぼした国の王子の死体を用いている…と自称しているが、サイザーが戦場に出る前から同じ死体を使っているので、彼女の動揺を狙ったハッタリである可能性が高い。 大鎌に似た形状の巨大ハープから奏でる魔曲によって深い未練や怨念を持つ死者の魂を冥界から呼び出して操る死霊使いで、その力はベースから「悪ふざけをやめれば軍王にでもなれた男」と語られる。 ただしこの世に無念や遺恨を残した者の魂と死体しか操れないため、自分のことを「落ちこぼれ」とも自虐している。 本人の性格も相まってターゲットに関わりのある死霊をゾンビとして呼び出し使役してトラウマを抉り、話術と搦めて徹底的に心を踏み躙る最低最悪の戦い方が得意戦術。 特に人々の不安や恐怖を煽り、他者を陥れる陰湿な「道化芝居」を演じて疑心暗鬼からくる仲間割れを煽動することを何より好むため、彼が取る行動はとにかく悪趣味。 このように只管悪趣味な趣向で戦う事からオーボウに「最低のクズ野郎」「思い出しただけでもハラが立つ」と蛇蝎のように忌み嫌われていただけあって周囲からかなり嫌われていたらしく、「“私のやり方”はみんなに嫌われる」と愉快気に自嘲していた。 また仮面の下の体は自由自在に切り替えられるので、老若男女問わず様々な人間に化けることが可能。本体の仮面さえ壊されなければ何度でも復活する一種の不死身キャラなので、しぶとさもかなりのもの。 扇動家・工作員としてはこの上なく優秀であるが、オル・ゴール本人の身体能力と戦闘力は低く、戦闘はあくまで死霊頼みでしかない点が弱点として挙げられる。 一人称は「ボク」「私」。口癖は「あー楽しィ」。 一部言葉がカタカナになる独特のセリフ回しが特徴で、言葉遣いは丁寧だが上官のベースにもふざけた態度で対応する陽気な性格の自由人。 悪ふざけを何より好み、人を食ったようなふざけた言動ばかりするベースの頭痛の種であり、登場時もケストラーのふりをしてギータを粛正しようとしていたベースをおちょくっていた。 死者の肉体を人形扱いし、死者の魂を玩具として高みからトラウマに苦しむ人間の姿を嬉々として嘲笑い、人の心の弱い部分を的確に見抜いて抉ることを愉しむ陰湿な性格。また人間の心の間隙を目ざとく見抜くことも得意としている。 ただ、相手を事務的に殺す事には興が乗らないのかヴォーカルの魔力を回収する任務を与えられた時には「あー楽シクない」と愚痴っていた。 軽薄でふざけた振る舞いが目立つがケストラーだけは例外中の例外であり、本物を目の前にしてケストラーへの恐怖心からふざけた態度は鳴りを潜め、仮面を外して忠誠を誓っている。 半ば強制的に組まされたヴォーカルとは性格の気質が違い過ぎているのと、いつ気まぐれに殺されるか分からない恐怖と相まってかかなり苦手意識が強い様子が見られ、度々小声で泣き言や不満を零している。 一方でギータとはそれなりにウマが合っていたようで、ケストラーに処刑されかけたギータが情けをかけられたときには利害関係抜きに生還を喜んでいた。 スコア篇にてハーメルの魔王化を目論み策を巡らせるも失敗。 以後は魔族側のレギュラー枠となり、ベースの制裁から救って貰ったギータとつるんで作戦を遂行することが多くなった他、ベースにヴォーカルの部下になるよう命じられたりと出番に合わせて気苦労やギャグパートに巻き込まれる回数も増えた。 最終決戦ではハーメルンで反撃の狼煙を上げた人類側の出鼻をくじくために単独で出撃。 ドラムの死霊を呼び寄せたドラム死霊(ゾンビ)に加え、サイザーが殺してしまった人間、ヴォーカルに惨殺されたスコアの住民、幼いハーメルが殺してしまったアンセムの住民の死霊などを大量に呼び寄せ戦場を死霊で埋め尽くしたが、罪悪感とトラウマを受け入れた上ケストラーの血が僅かに覚醒したサイザーの猛攻の前に形勢が逆転。 ドラム死霊も呆気なく一蹴され、そのまま首を刎ねられ戦闘不能に。 死にたくない一心で最後の足掻きとばかりに自分が今まで使っていた身体の正体を明かした上で赤い魔女と呼び動揺を誘おうとするも、サイザーには一切通用せず鎌の一振りで本体の仮面を砕かれ呆気なく消滅。断末魔の叫びすら上げられない惨めな散り様で終わった。 オル・ゴール 人の苦しみを使い…悲しみを操り…運命をもてあそぶ… 地獄の道化師よ 今の私にはそれは…もう 通用しない… そしてオル・ゴールの消滅に連動して魔の冥界に囚われ弄ばれていた死者達の魂も解放され、安らかに成仏していった。 だが高位の魔族だけあってただでは死なず、戦いの最中にも「ドラム死霊の肉体で魔法陣を作る」という裏の任務は完遂。 ベースの副官としての務めを果たし、魔族側の反撃の一助を促した。 名前の由来は機械仕掛けにより自で曲を演奏する楽器「オルゴール」から。 ちなみに(口癖の)モデルは『職業・殺し屋。』や『ゲッターロボダークネス』でおなじみ西川秀明先生。 タタラ 顔が骸骨になり右手がフックになった海賊のような魔物で、巨大なタコに乗って幽霊船団を率いるが船団諸共ポセイドンの前に敗れた。 ストーリー的にはオル・ゴール編の前座のような扱いの魔族。 メデューサ CV;小宮和枝 劇場版で登場した女魔族。 自らの顔を美しいと嘯く妙齢の女性だが、本性は巨大な半人半蛇の怪物。 石化魔法の使い手で、目を見た相手を石に帰ることが可能。 古城を根城にして部下を率いてアンディファーナ国侵攻を指揮し、ベルリラ姫を魔法で猫に変えたりアンディファーナの兵士やハーメル一行のうちオーボウ、サイザー、ライエルを石化させたが、石化した仲間を投げまくって武器にするハーメルの外道戦術に翻弄され、最後は魔曲で強化されたフルートの「お母さんの愛のキック」で蹴り飛ばされ滅びる。 ベースの配下だったらしく、配下も冥法軍のスケルトン兵や骸骨顔のミノタウロスを運用していた。 幻竜軍 リザードマンなどの竜人やドラゴンなどの、精強な竜族で構成された部隊。 巨大なドラゴンと鉄の帆船を融合させたような空中戦艦の艦隊「竜王船団」を擁している。 ドラムに率いられ第二次スフォルツェンド大戦を引き起こすが、モブ兵に関してはオリン爺さんの作った「パンドラの洗濯機」や「パンドラの便器(使用済み)」に吸い込まれたりとギャグのノリに巻き込まれて軍が壊滅したりと扱いは中々に散々。 幻竜王(ドラゴン・キング)ドラム このドラム様と殺(や)りあおうなんてよおーー!!千年早(はえ)えぜクズがぁ! この大魔王ドラム様によぉーーー!! CV:郷里大輔(ドラマCD)/梁田清之(テレビアニメ) 『幻竜軍』を束ねる魔界軍王No.2。 「竜族の王」の異名を持ち、ビジュアルは魔族の中でも一際大きく屈強な巨体を持ち、額から一本角の生えた薄緑色の肌の双頭の竜人。 緑色を基調とした頑強な鎧や首を覆う白いスカーフ、「竜」の文字がデカデカと書かれた腰の前掛けが特徴的。 軍王随一のタフさと剛力の持ち主で、両端に巨大な棘付き鉄球がくっ付いた身の丈ほどのサイズの特大メイスを振り回して暴れるパワーファイター。 大言壮語を吐くだけの実力はあり、生半可な封印術であれば力任せに打ち破ってしまうタフネスは尋常ではない。 また体内に氷竜や火炎竜など30体もの竜を飼っており、両腕から体内の竜たちを解放して操ることが可能(*5)。体内に飼った竜の首は自由自在に伸縮するため、離れた間合いの相手にも食らいつくことができる。 体内の竜を解放することはドラムにとっての本気であり、両腕が無くなる代わりに腕から触手のように生える無数の竜頭が放つ様々なブレスと噛み付きで戦う広範囲殲滅戦法を得意とする。 死亡後も回想シーンなどでそれなりに出番はあったがその殆どが力任せに暴れてはあっさり倒されるという清々しいまでの噛ませ犬役と中々に不遇。 とはいえ本気のオーボウやリュートにボコボコにされても特に命に別状なくピンピンしていた辺りタフさは間違いなく作中最高峰。 「ドラムを簡単に叩き伏せられるかどうか」で大体の強さが察せられる部分もあり、序盤の暴れっぷりと合わせて割と「そのキャラの強さのわかりやすい物差し」として本編で活用されていた節が強い。 本性は48本の首を持つ巨大な多頭竜ヒドラで、より強化された大出力のブレスで全てを薙ぎ払ってしまう。 一人称は「ワシ」。 非常に荒々しく短気で粗暴、頭が悪く傲慢で、欲深さもプライドも人一倍の癇癪持ちという悪い意味で体育会系の脳筋。 人類を「クズ」「ウジ虫」呼ばわりして子供を含む弱者を嬉々として甚振ってゲラゲラ嗤う残虐極まりないチンピラみたいな性格。 己の強さへの自惚れから自分より下の強さの者やケストラー以外の存在を等しく見下しており、自身を最強の存在と豪語しているが故にベースを生意気と評するだけでなく、ケストラー不在の現在の状況を見てハーメルを倒して自分が第二の大魔王になろうとまでしていた野心家でもあった。 また竜族以外の魔族を格下扱いしており、サイザーの部下の兵士に暴力をふるい、ギータに対しても「ケモノふぜい」と見下しながら子分扱いしてパワハラ同然の態度を取っていたため、裏ではかなり恨まれていた様子。 尊大極まりない性格だが魔族の絶対支配者であったケストラーには全くと言っていいほど頭が上がらなかったようで、ケストラーの血を活性化させたハーメルを見て「あの方」と内心で呼んでいる辺りケストラーへの恐怖心は拭えなかったことが伺え、回想では大量の冷や汗をかきながら他の軍王共々ケストラーに土下座して服従する姿を見せていた。 また生粋の魔族ではない上に異例の速さで昇進したサイザーとは完全に犬猿の仲。事あるごとにサイザーを目の敵にして、サイザーを騙し討ちで殺そうとすることも珍しく無かった。 劇中では幻竜軍を率いてスフォルツェンド公国を襲撃し第二次スフォルツェンド大戦を誘発。 持ち前の圧倒的パワーとずば抜けたタフネスで大暴れするも、ハーメル一行の参戦に加えハーメルの魔曲により強化されたスフォルツェンド軍の反撃で思わぬダメージを受けた結果逆上。 怒りの余り本性であるヒドラの姿となり暴れるが、ベースの制御を外れ勝手に動き出したリュートの氷縛結界で動きを封じられ、トロンに身体を斬り裂かれた上、クラーリィが有事の切り札として膨大な法力を蓄えさせていた耳飾りをドラムの体内に叩き込んで起爆。 己が敗北しかけているという事実を受け入れられず絶叫していたところを、トドメに魔王の力を部分的に顕現させたハーメルの拳で吹き飛ばされ、魔界軍王最初の犠牲者となった。 ギゲャアアアアア ババババ バカぬあぁ 大魔王となる ドラム様がぁ… このドラム様があぁーーーー!! その後は死に体の状態で文字通り這いずりながら敗走していたが、追ってきたギータに助力を請うも「確かにあなたはお強かった。でも頭が悪かった」と侮蔑されトドメを刺された(*6)挙句、血を舐められたことで能力までコピーされた。 北の都での最終決戦ではオル・ゴールの手で「ドラム死霊(ゾンビ)」として強制的に蘇生。死して尚苦しみながら暴れ回るが、精神を立て直したサイザーの前に一蹴された。 だが本命はドラム死霊の肉体を用いた魔法陣の構築であり、ベースの呪法の素材にされるなど最後まで死を利用されていた。 名前は複数種の打楽器の組み合わせである「ドラムセット」の捩り。 スティックス お見事ですヨぉリュート王子 私(わたくし)のスピードについてこれたのはあなたが初めてでス…!! しかも人間ごときがあァ スバらしイィ 幻竜軍副官。 見た目は眼鏡をかけ長くとがった鼻と顎のインテリヤクザめいたハゲの中年男性の竜人。背中から長い首の竜の頭を生やしており、掌にも口がある。 ドラムを上回る機敏性(スピード)が武器で、スピードを生かした格闘戦が得意。本性は三ツ首の飛竜(ワイバーン)。 一人称は「私(わたくし)」で、慇懃無礼な振る舞いを取るがキレた言動はチンピラのそれ。 幻竜軍第3大隊を率いてトロンが産まれる前の頃のダル・セーニョ王国を襲撃し、ベースが作った耐魔法マントを身につけて有利に戦闘を運んだが、リュートの力の前に圧倒され、最後は「嚥餓哭喰魂」でかみ砕かれてドラムとベースに助けを懇願しながら死亡した。 名前の由来は恐らく打楽器を叩く棒「ドラムスティック」の捩り。 シンバル ドラムが戦死した後北に帰れなかった残党の1人。 ハーメル一行への復讐として同じ敗残の仲間と徒党を組んでハーメルを襲ったがコル・ネットに一蹴された。 妖鳳軍 鳥人のような有翼の魔族で構成された部隊で、空中戦艦である「巨大戦艦ジーク」を擁する。 しかし、トップが度重なり魔界軍を離反するなど色んな意味で呪われた不遇の部隊。 最終的に部隊の生き残りは北の都の本隊に編入された様子。 妖鳳王(ホーク・キング)サイザー はやく北の都にこい… パンドラは生きているぞ…おまえが来るのを待っている 声:佐久間レイ(ドラマCD・劇場版)/緒方恵美(テレビアニメ) 『妖鳳軍』を束ねる魔界軍王No.3。 「ハーメルンの赤い魔女」「空の女王」の異名を持つ魔界軍王の紅一点であり、大鎌を振るい九人のワルキューレを呼び出し華麗に戦う女戦士。 劇中ではオカリナ共々魔界軍を離反。勇者一行に加わった。 厳密には生粋の魔族ではなくハーメルと同じくケストラーの血を引くパンドラの娘。関係としてはハーメルが兄に当たる。 名前の由来は「シンセサイザー」の捩り。 詳細はサイザーの項目を参照。 オカリナ 大丈夫…だからもう…泣かないで…ね… CV:柊美冬 サイザーが連れている白いカラスで、サイザーの副官。 正体はオーボウの娘であり、本来の姿は空色のショートヘアとビキニアーマーが特徴のスタイル抜群で大学生位の外見年齢の美少女。 ハーメル曰く「ムッチムチセクシーなお姉ちゃん」「こげないやらしか恰好したおなごこの漫画始まって以来だぞ」。 偵察を得意とするがサイザーの副官なだけあって戦闘力は本物。サイザーの飛行速度に追随できるだけのスピードを誇り、父オーボウの技である「鳳凰千破(ほうおうせんぱ)」も扱うことができる。 一人称は「私」。 ハーメルにとってのオーボウと同じようにサイザーの育て親と言うべき存在で、幼いサイザーのたった1人の友達だった。 サイザーと出逢う前の元々の性格は不明だが、オーボウと同じく優しい性格へと軟化したであろうことが推察されており、本編の段階では魔族らしからぬ明るい笑顔の似合う溌溂とした性格となっている。 だがサイザーが母親に愛されていたのを知っていたがベースに脅迫されて言えず、サイザーに積年の孤独を抱えさせ殺戮を引き起こさせてしまった事に罪悪感も抱えていた。 魔族を裏切ったオーボウの娘である彼女が粛清されず、サイザーの養育という役目まで任された理由は不明だが、後の展開から考えると、サイザーを魔族の思想に染めないことでより苦しめるためのケストラーの意向だった可能性がある。 劇中中盤、反魂の法によりサイザーが黒い魔女と化してしまった際はサイザー救出のために尽力。 己の寿命が来ることも傷だらけになることも顧みずサイザーを助けようと己の身体と魔力を酷使し続け、ケルベロスとなったギータを鳳凰千破で退けた。…が、その一撃によって遂に寿命が訪れて肉体が崩壊。 それでもなお最後の最後で、同じく寿命が近づいていたサイザーの肉体を癒し、己の死よりもサイザーの身を案じながら笑顔でサイザーの幸せを祈りながら塵に還った。 彼女の死は絶望に暮れたサイザーの心の支えとなり、ライエルの存在と合わせて彼女の再起の一助となる。 余談ではあるがオーボウの妻(そしてオカリナの母)は粗野でわがままな姐御肌な性格でオーボウも頭が上がらない女性だったようだ。 逆に言えば魔族特有の残虐さは見受けられず、オーヴォといかに出会いオカリナを設けたのか興味が尽きないところである。 名前は気鳴楽器の一種「オカリナ」から。 オーボウ ハーメル… おまえは 人間じゃよ… CV:佐藤正治(ドラマCD・劇場版)/千葉繁(テレビアニメ) 主人公ハーメルと旅をする喋る黒カラスだが、正体は「空の提督」の異名を持つ初代妖鳳王(ホーク・キング)。 真の姿は背中に1対の黒い大翼を備え軍服をきっちり着こなす屈強な肉体の老人。 性格は無用な人殺しを忌み嫌う厳格な軍人気質。 情に脆く無益な殺生も嫌い、冷酷非情に徹しきれない(魔族視点での)変わり者であり、魔界軍時代は殺戮を好む同胞とは相いれず孤独で虚しい日々を送っていたが、ケストラーの封印解除のための手段の捜索で疲れ果て傷ついた過程でパンドラに心身共に救われ、パンドラ一家に対するケストラーと仲間達の所業を目の当たりにしたことで魔族と完全に決別。 ケストラーに反旗を翻し、封印の行い方を伝えたことでケストラーの再封印のきっかけを作った。 その後は母のいなくなった孤独なハーメルを支えるべく、親代わりとしてハーメルを支え続けた。まあ、真の姿になるまで戦力外だったので、ハーメルからはロクな扱いされてこなかったが…。 軍属時代は序列2位でこそあったが実際は序列1位の冥法王ベースすら超える力の持ち主で、ケストラーを除けばヴォーカルと並び魔界最高の戦闘力を持つ猛者。 強力な竜巻を手から放ち全てを吹き飛ばす「鳳凰千破(ほうおうせんぱ)」を得意技とし、ドラムをワンパンで殴り倒しベースの封印術すら力任せで打ち砕く真の実力はあのケストラーをして「お前一人完全であれば魔族も半分はいらんだろうな」と言わしめるほど。 ただ、オーボウによる全身全霊の攻撃をノーガードで受けながら、かすり傷一つ追わず余裕綽綽で宣った内容なので、本心かは怪しい面もある。 しかしその異端の性格から同族からの受けは悪く、「そこいらへん(*7)もう少し融通がきいたら魔界軍王の長になれたでしょーに」とギータには評され、「魔族としては最低だ」とベースに酷評されている。 ちなみに、娘のオカリナがいることからわかるように妻帯者なのだが、嫁さんは本編に登場せず、消息は不明。 イメージイラストや設定は掲載されており、粗野でわがままな姉御肌の美女で、オーボウが頭の上がらない相手らしい。 名前は木管楽器の「オーボエ」の捩り。 ロックバンドで用いる楽器モチーフで統一されていた魔界軍王の中では独り浮いた名前である。 超獣軍 ミノタウロスや人狼(ワーウルフ)といった獣人系の魔物で構成された部隊。 戦力として大型戦車を擁しており陸戦部隊という趣が強い。 しかしギータ共々ドラムやピックに見下されており、軍での地位は低かったことが伺える。 超獣王(ヴォーリア・キング)ギータ おかしいですねェー誰かのために“剣”を振るとか─── “生きろ”…とか… 魔族から“死”を与えられるためだけの…あなたたちがぁーーー! CV:二又一成(ドラマCD)/松山鷹志(テレビアニメ) 『超獣軍』を率いる魔界軍王No.4。 「魔界一の剣客」「獣の王」の異名を持つ、蹄を備えたドーベルマンや狼に似た犬の背中から犬の頭を持つ西洋の騎士のような姿の上半身(*8)が生えた異形の犬の獣人。背中には複数の刀剣を装備している。 普段からドラムにへつらいながらも険悪なサイザーとドラムの仲を笑顔で取り持ち、時には口先だけでなく剣で諌める調停役として振る舞うことが多い。 トロンとは剣士繋がりで度々交戦することが多く因縁深かったが、実はトロンの母ショームを剣で焼いて惨殺したトロンにとっての最大の仇であった。 本人によれば元々強力な魔力を持つ性質の魔族では無く、それ故にトロンと互角かそれ以上の卓越した剣技とコレクションとして集めた魔剣・妖刀の特殊効果を使って戦う技巧派の魔剣使い。 サイザーとドラムの喧嘩を剣だけで容易く諌められる辺り腐っても軍王である。 加えて魔力を持つ者の血を舐めるとその者の能力を得ることができ、「あらゆる獣を超える王」を自負するこの能力で成り上がりを狙っていた。 また腕っぷしの強さ以上にヘラヘラと情けない振る舞いの裏で相手を陥れる謀を巡らせる知恵者でもあり、謀略家・前線指揮官として技量も高い。 本性は冥府の門を守護し亡者の魂を喰らう地獄の番犬ケルベロス。ただし原典とは異なり双頭なので厳密にはオルトロスに近い。 だがドラム、サイザー、ヴォーカルの血を呑んだ結果巨大な貪獣(キマイラ)に変貌。強大な魔力によりドラムの竜やサイザーの翼をコピーした事によって中盤ではあのサイザーが慄くレベルの存在となっていた。 一人称は「私」。(*9) 多弁かつ常に丁寧語で喋る慇懃無礼な性格だが魔王軍の中ではコミカルな態度や言動、強者にへつらう平身低頭な場面が多く、ハーメル一行に「チ○ポ丸出し」とネタにされたり犬扱いされたりと魔族随一のコメディリリーフ。 前述のとおり結果的に自分を助けたオル・ゴールが制裁を受けたときには助けたが、そこは魔族なのでこき使っていた。 その本性は己の強さへのコンプレックスから異様に執念深く狡猾なねちっこい野心家で、生き延びて目的を果たすためならどんなに生き恥や無様を晒しても構わないバイタリティの塊。 普段は強者の腰巾着としてへつらいながら、いざ自身を見下していた相手が弱れば隙を狙って嬉々として剣で斬り殺し報復や下克上を目論もうとする卑劣漢である。 剣客を標榜するが、そもそも剣に拘る理由が「どんな強者も剣一つ突き刺せば威厳や虚勢が崩れ、泣き言や悲鳴に代わるのがたまらなく好き(要約)」と自慢げに語る最低の剣士で、 威張り散らしてる野郎どもが恨みつらみを吐き捨てる… ベースやドラムなんかもねェー ハハハァ もがき苦しむ様が最高なんですヨー!! と吐露するだけあって、他者を剣でジワジワ甚振って相手の悲鳴や泣き言を聞くことを好んでいる。 一応剣客としての最低限のプライドや矜持はあるのか、自身に立ち向かったトロンを見込みアリと判断して剣士としての成長を期待する一面もあった。だがそれもあくまで「ネチネチいたぶって楽しめる殺し甲斐のある相手」という意味合いでしかないが。 劇中では初期から北の都から離れられないベースに代わって刺客や前線指揮官として働き、ベースにも秘密で少しずつ強者の血を取り込んで力を付けていたが、その成果もケストラーに見抜かれ聖杯扱いで捕食されあやうく死にかけている。 最終決戦では魔界軍王最後の1人になるまで生き残りトロン・ボーンと対峙。 死の牢に捕らえられていた人間を片手間に殺しまくりながら戦い、只管トロンを嘲笑う非道な戦闘スタイルでトロンの逆鱗を逆撫でしつつ多彩な魔剣妖刀で圧倒するも、母親を殺された小さな子供の奇襲で背中を刺されたことで形勢が逆転。 牢の中の人間達の反乱を招いてしまい、激高した隙を突かれトロンが愛剣を全て取り戻されてしまう。 ギータあ!我がD・S(ダル・セーニョ)の名にかけて── 貴様を討つ! 人間めがぁぁぁ! 餌の分際でェー!殺されるだけの分際でぇー! 怒り狂いながら襲い掛かるも、トロンの放った三刀流仕様のシーザー・スラッシュの一撃で首を刎ねられ胴を斬り刻まれて敗北した。 だが実は下半身の犬が無傷だったためギリギリで生き残り、ケストラーの血痕の血を舐め最強に…といういい所でコル・ネットの「聖母殺人伝説(ジェノサイド・エクストリーム)」の犠牲になって死ぬケストラー戦のシリアスの反動と言わんばかりのギャグ展開全開のオチを迎えた。 名前は弦楽器の一種「ギター」の捩り。 マウス・ピース CV:宇垣秀成(ドラマCD)/宮田浩徳(テレビアニメ) 「北の番人」の異名を持ちフィーネ山脈を根城とする巨大なタケノコ魔人タケノッコーンハリネズミの魔族。 ただハリネズミといったがビジュアルは首長竜に似ており顔もかなりトカゲっぽい。 山に擬態して地面に潜み、自分の背に乗った人間を針で串刺しにすることを好み、部下であろうと容赦なく串刺しにして処刑する冷酷な性格。 魔族に抵抗したD・Sの国民やトロンの両親を徹底的にこき下ろしあざ笑っていたが、ハーメルの魔曲の後押しを受けてはなったシーザー・スラッシュで致命傷を負い、虫の息になったところをサイザーに頭を割られ滅んだ。 名前の由来は金管楽器の「マウスピース」。 グスレ 超獣軍最強の精鋭部隊「王虎大隊」の軍団長大佐。 15年前の第一次スフォルツェンド大戦でも成果を挙げた歴戦の老軍人で超獣軍の切り札としてD・Sに派遣されたが、ヴォーカルによって理不尽に大隊諸共全滅させられた。 名前の由来は東ヨーロッパの弦楽器「グスレ」。 悪魔軍 悪魔系の魔族で構成された部隊。 第一次スフォルツェンド大戦でピックが戦死して以降は新たにリーダーが着任することはなかったようで、本編では軍で動くことは無かった辺り、軍そのものが解散の憂き目に逢って北の都の本隊と混合されている様子。 悪魔王(エビルスマスター)ピック ええ…とあなたの罪状は…その絶大な魔力を使い… 罪もなき尊き善良な魔族たちの生命(いのち)を数多く奪い去ってきました この許しがたき事実はもはや明明白白 “極刑“を求刑します 『悪魔軍』を束ねる魔族。 「法皇(ほうこう)」の異名を持ち、軍王と明言こそされていないが他の軍王と共に行動するシーンも多く、地位としては軍王相当の強大な魔族。 中世貴族を彷彿とさせる衣装で着飾っており、左肩に「弁護(ディフェンス)」、右肩に「告発(アッキュゼーション)」、ヤギの角を生やした水色の髪の美青年の頭部である「審判(ジャッジメント)」の顔を持つ三面の怪人物。 魔界でも屈指の法力と魔導の知識を持ち、特に耐魔力は魔界一と豪語していた。 本性は三つの首を持つサバトの黒山羊。この時には両肩の顔も黒山羊化する。 一人称は「わたくし」。自称「魔界の法と秩序を司る法皇」「法廷を司る者」。 両肩の顔と常に会話をしており、両肩の顔と共に魔族側を絶対の正義とした人類にとって理不尽な裁判を行うのを好む。 ニコニコした笑顔を浮かべて気取った言動で礼儀正しく振る舞うが、本性は非常にプライドが高く部下の命を駒としか思わない冷酷な性格。 ベースを尊敬して恭しい態度を取る礼儀正しさをもつが、逆にベース以外の魔族は自身と対等とすら思っておらず、触れられることは愚かベース以外の者に自分の名前を呼ばれることを毛嫌いし、部下すら癇癪で容赦なく殺す神経質な性格。 両肩の顔も同じく人間の存在は揃ってゴミクズ程度にしか思っておらず、人間を下賎な輩と蔑みつつ魔族に逆らい魔族を殺傷する人間は罪人扱いしている。 また魔族に逆らって犠牲になった人間の魂を判例集の本の中に閉じ込めた上で「陪審員(ジュリーマン)」と嘯いて意見も聞くが発言の自由は当然ながら皆無で、人間の助命といったピックの意にそぐわない発言をすれば容赦なく殺されてしまう。 15年前の第一次スフォルツェンド大戦にてスフォルツェンドを襲撃しており、肩書や経歴こそ強者であったが扱いとしてはリュートの噛ませであり、リュートvsベースの前座同然であった。 最後はピックの身体に直接呪文を書き込むリュートの奇策で耐性を貫通されてズタボロの瀕死に。貴族めいた振る舞いもできなくなり、ベースに助けを懇願しながらも全力を出して戦えない事への口惜しさとリュートへの怒り、死への恐怖に苛まれ惨めに砕け散った。 死にた…くねぇ…本当の力が…出せればよおぉぉ~ 死にたくねェヨ~!ぶっ殺してェェ…やったのに… 名前の由来はギターを演奏するための道具「ピック(*10)」。 弁護(ディフェンス) まったくどうかしてるよ 人間なんざ家畜の餌みたいなもんじゃないか うす汚くて虫ケラみたいでクズでなんの価値もない ピックの左肩にいる第2の顔。 ビジュアルはメガネをかけた長鼻で細身の顔のおっさん。 名前に反してギロチン処刑を好み、人間に情けなく敗北し重症を負った魔族を「ぶっ殺してやるのが法律心(リーガルマインド)というもの」と称して審判に処刑を提言する血生臭い言動が特徴。 告発(アッキュゼーション) 虫ケラなんだから何匹殺したっていーじゃないか それを自分が傷つけてまで守るってんだからお笑いだねー どーせ魔族にぶっ殺されるんだからさ ピックの右肩にいる第3の顔。 ビジュアルはナマズ髭の太ったおっさん風。 フランクで爺くさい言動が特徴で、人間の悲鳴を好み弁護と共に軽々しく人間の死刑を求めるなど人間の命を軽んじる魔族らしい最低の人格。 クワイア=オルガン 空を飛べる…強くて…美しい女はここにもいる… 悪魔軍副軍団長。 禍々しいビキニアーマーを纏った黒髪の美女の上半身に、4足の鳥の足を備えた下半身を持つケンタウロスめいた異形のハーピー。武器は巨大な大斧。 サイザーの異名だった「空の女王」の肩書に強い執着を見せ、自分こそが真の空の女王だと自負した上でサイザーを敵視する高飛車でサディスティックな性格。 しかし実力はサイザーに及ばず、本気になったサイザーに圧倒されたことにブチ切れて醜悪な本性に変化したが「時空転送神聖門(ゴッド・ブレス・ゲート)」によって転移してきた人類軍の支援砲撃を受けて爆散し果てた。 名前は恐らくキリスト教の聖歌隊である「クワイア」と「パイプオルガン」の捩り。 配属先不明 魔界軍特殊部隊 北の都での最終決戦を控えたハーメルたちを襲撃した魔族の集団。特殊部隊を名乗るだけあり、メンバー全員が人間への変身能力を持っている。 変身の精度は極めて高く、体格も性別も違うフルートやサイザーに完璧に成り代わっていた。後方攪乱などを行っていれば重大な脅威となったことだろう。 そんな彼らが作中で実施した作戦は、フルートやサイザー、ワルキューレ達に扮して温泉で乳繰り合い、覗きにきた男どもを討ち取るというもの。 同期のパッ○ラ隊が定期的に温泉に入っていたことで温泉ネタに飢えていたハーメルとトロンをまんまとおびき出すことに成功し、正体を明かして襲い掛かろうとするが、男の浪漫を踏みにじられて血涙を流すほど怒り狂った二人にボコボコにされた。 こんな頭の悪い作戦が実行された経緯は不明だが、当時既にケストラーが復活していたこと、人の心を弄ぶことが大好きな彼の性格を考慮すると、ケストラー直々の立案である可能性が浮上してくる。何やってんだ大魔王。 ちなみに、引き合いに出されたパッパラ隊では翌月さっそくこの回をネタにし返しており、ハーメルのコスプレをした中年男性熊本のハー○ルが登場。ハーメ○に倣ってしっと団の面々と共に女湯覗きを敢行するも、即座に成敗された。 アイリッシュ・ハーブ 北の都に在していた魔族。 巨大なガルーダを乗り回す神魔獣使いで、全身に甲冑を纏った騎士めいた姿を持つ。 クワイア=オルガンと共に襲撃し、同じ神魔獣使いのライエルを敵視して追い詰めるが、時空転送神聖門を介して駆けつけたファイフによって倒されている。 名前の由来はハープの一種である「アイリッシュハープ」。 その他 ヴォーカル お前らバッカじゃねぇーかぁ!!人間って奴ぁよ! ぶっ殺すもんじゃねェかよぉ!! ブチ斬ってナブって…いい悲鳴きかせて…くれてよ オモチャじゃんかよ!ヒャハハハァ! 「魔族の中の魔族」「殺人鬼」「罪人」「魔界のリーサル・ウェポン」といった異名を持つ、500年前に大魔王ケストラーに反逆し、ハーメルンの奥に幽閉された罪人の魔族。 劇中中盤で登場し、オル・ゴールと共に数々の胸糞展開や鬱展開を齎し、読者にもハーメル一行にも絶望を与えた中盤の鬱展開の元凶ともいえる人物。 見た目はパンクロッカー風の服装を纏った紫色の短髪のワイルド系イケメン。一見人間に近いが側頭部には蝙蝠の翼が一対生え、腹には第二の口を隠し持つ。 またベースによって魔力を1/10に抑制する鉄球を右手に装着させられている。 本性は長い白髪と2本の角が特徴の鬼。他の軍王クラスの魔物と比べると変容の度合いは多くない。 魔族の中でも破格の強さを誇り「5人目の魔界軍王」とまで評されたほどの実力と、触れた魔族の魔力を吸って己の魔力を回復できる特異な能力を持つ。 戦闘スタイルはステゴロだが拘束具の鉄球を武器として巧みに用い、手からエネルギー波を放つ事もできる。 その実力は力を封じる枷を付けられた状態でも本気になったサイザー+ワルキューレ全員を相手に舐めプができる余裕があるほどで、スピード・攻撃力全てにおいてサイザー以上。ケストラーを除けば魔族化したハーメルとの殴り合いでハーメルを圧倒できた劇中唯一の魔族であった。 また戦い以外でも、魔力で自他の服装や装備の外見を自由に変えることもできる。 一人称は「オレ」。口癖は「ぶっ殺してやるぜ」。 表面的にはひたすらノリの軽くテンション高めのチャラ男だが、本性は極めて傲岸不遜かつ残忍、暴力的というあまりにも扱いづらい無軌道な狂犬。 とにかく誰かに命令されたり自分より上に立つ者が許せないため、牢から解放されて速攻でベースに平然と反逆した反骨心の塊である。 加えて人殺しだけが生き甲斐の変質的な殺人快楽主義者なため、 人間も魔族も気に入らなければ見境なくいたぶり破壊し尽くし、人間を只管イビリ抜いてから殺して遊ぶ趣向 癪に触る者は魔族であっても躊躇いなく殺す残虐性 から、同族にも恐れられる。 かなり派手好きな一面も持ち、テンションが上がった際はブラスバンドに扮してギータやオル・ゴールを巻き込んでライブを行ったこともあった。 サイザーやオカリナ、フルートに平然とセクハラをかましたこともあったが性欲から来る行動ではなく、あくまで殺す前の揶揄いと嫌がらせ程度の意味合いしかない。 DQNな振る舞いの暴君というベクトルはドラムに似ているが、ケストラーを公然と「ボケ野郎」「クソ親父」呼ばわして罵倒する忠誠心の無さと、ドラムと比べかなり狡猾で知恵が回る悪辣さが大きな差別点。 オル・ゴール戦を経て心身ともに強くなったハーメル一行への嫌がらせ兼当て馬として解放されると、オル・ゴールとの戦いで絆を深めハーメルへの偏見も解消され親しくなったスコア王国の住民を老若男女一人残らず皆殺しにして国を滅亡させる非道極まりない所業で鮮烈デビュー。 その圧倒的な強さと悪意でハーメル一行を心身ともに追い詰めたが、自身の魔力を顧みない暴走を続けた挙句ハーメルの怒りを煽りすぎた結果、完全にブチ切れ更なるケストラーの血の力を活性化させたハーメルの力に圧倒された屈辱で逆上。 ハーメルを上回るために不用意に己の封印を無理矢理破壊して本性を出したが故に、急激に寿命を擦り減らしてしまう。 こうして弱り果てたところを追撃とばかりにギータの暗殺を受けて完全に瀕死に。子どもの姿にまで縮んでしまい、死への恐怖ともう大勢の人間を殺せないことへの悔しさと憤りによる絶叫を上げていた。 最終的はオル・ゴールに絞りカスと憐れまれる状態にまで追い込まれ、散々振り回したオル・ゴールに処分されるような形でケストラーに捧げる聖杯として回収。 ハーメルとオーボウに負け惜しみにも似た呪詛の言葉を叩きつけるも、最後はオル・ゴールの奏でる葬送曲によりエアシュテルベントの大地に埋められた大量の人骨に纏わりつかれながら消滅する自業自得の最期を迎えた。 なあーハーメル オレが教えてやるぜェ おめーもこーやって…死ぬんだ!! オレみたいによ醜く 哀れに 砕けちって 死ぬんだぁ!! オレ様は… ヴォーカル様だぁ! 名前の由来は歌手である「ボーカル」の捩り。 ちなみに単行本のカバー裏で女体化したことがある。 野盗の魔物 記念すべき(?)漫画第1話の魔物。名前はなくぶっちゃければモブの魔物。 巨大なメイスを振り回す大柄なひげ面の鬼に似た姿。 金品や宝に執着を見せており、野盗として近隣の村で暴れ数百人を殺戮して金品や宝石を搾取していた。 劇中では傍若無人の振る舞いにキレたハーメルの奏でた『シューベルトの子守唄』により心を現れ改心。善性と母性に目覚めて、直前まで虐げていた少年ビオラの母親に扮してビオラを世話しようとするギャグ色全開のオチを迎えた。 なおその後ハーメルンでの最終決戦ではギャグパートの中でビオラ共々久々にハーメル一行の加勢のために登場。仮にも同胞の魔族に反旗を翻していた。 一応ビオラの母親を惨殺した仇であったのだが、意外にもビオラとの疑似親子関係は良好だった。 チューバ CV:梁田清之(ドラマCD) スタカット村の外れにある古城に居座って魔王として振舞っていた魔物。 見た目はトカゲみたいな頭の巨人で、「蜥蜴王(リザードキング)」の異名を持つ。 同じくトカゲの魔物を部下として従えており、部下に暴力・殺人・強盗を繰り返させてスタカット村からも食料を搾取しようとしていた。 未熟だった頃の昔のハーメルと戦ったことがあり、まだ音を聞かせて相手を戦意喪失させるしか攻撃方法が無かったハーメルへの対策として耳栓をすることで勝ち誇っていたが、フルートを操った攻撃で倒され耳栓が外れたことで敗北。 裸踊りをさせられた挙句全裸にされて磔にされるハメになった。 「ヒロインのフルートと初めて戦った」という意味では記念すべき最初の魔物でもある。 名前の由来は金管楽器の「チューバ」から。 バスーン 山間の町テヌートを支配していた虎に似た魔物。 酒を好み金銭に関心があったのか町の人間から上納金を徴収し圧政を敷くが、最終的にはマリオネット状態のフルートのチャイコフスキーパンチやチャイコフスキースープレックスによってボコボコにされて散った。 名前の由来は木管楽器の1つ「バスーン」。実はファゴットと名前の元ネタが丸被りしている。 ファゴット 多数のアンデッド系の魔物を従え、鉱山の町レガートを支配し強制労働を強いていた骸骨のような魔族。邪悪な神を守護していた修道士(モンク)の成れの果て。 「不死軍王(スケルトンキング)」の異名を持ち、一国の騎士団をたった1人で壊滅させたことがある武術の達人。 「不死(スケルトン)魔族の中でも最強」というオーボウの触れ込みだけあってフルートのマリオネットも効かない最初期の魔物にしては強者だが。ハーメルの帽子に触れたことにより、激昂したハーメルに帽子を掴んだ手を握りつぶされた後殴り倒されて消滅した。 本人の言動から察するに、魔界軍王ともつながりがあった様子。 余談 設定を見るとあまりにもシリアスな敵なのだが、本作は深刻なシリアス展開中であろうと容赦なく不条理系ギャグをぶち込む作風故に、ギャグ展開に巻き込まれてシュールな姿や反応をさらす魔族も案外多い。 ファゴット戦までの最初期の魔族を除けば名前のないモブ魔族達が顕著であり、ネームドだとギータとオル・ゴールがよくギャグ展開に巻き込まれて弄られることが多かった。 追記・修正よろしくお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ギータってアニメ版だと「ドラムの能力を使用→出した竜にドラムの意思が残っていて逆襲される」って流れで死亡したような記憶がある。かなり昔だからうろ覚えだけど。 -- 名無しさん (2024-05-16 22 22 54) ビオラの母さんは魔族なんだろうか? -- 名無しさん (2024-05-16 22 59 16) ギータ様の生き汚い感じ好きだったなぁ -- 名無しさん (2024-05-16 23 43 23) 魔界軍王がどいつもこいつも絶望的に強すぎて、こんな連中どうやって倒すんだって印象が凄かった。そしてその軍王連中すら戦力的にも性格の最悪さ的にも足下にすら及ばないケストラー… -- 名無しさん (2024-05-17 00 44 02) ↑4 その通り。ちなみにケストラーは魔力の供給源として即位されたお飾り魔王だから誰も崇拝してるわけじゃない。 -- 名無しさん (2024-05-17 05 52 49) 主人公達居なけりゃ遠からず人類絶滅しそうだがそしたら魔族同士で内乱でもしてたんだろうか。 -- 名無しさん (2024-05-17 05 56 51) ケストラーが規格外なだけでオーボウも普通のファンタジーなら十分魔王クラスの強さ。実際、パンドラ護るために戦った時はベースですら全く歯が立たなかった -- 名無しさん (2024-05-17 06 55 28) 敵幹部一番手のドラム戦から圧巻の描写だった。ロトの紋章のグノン戦といいこの頃のガンガンのファンタジー漫画の幹部戦は神がかってる -- 名無しさん (2024-05-17 09 02 11) ピックは本気オーボウに圧倒されてビビっているシーンではオルゴールと互いに「さん」付けで名前を呼び合っていたりしたような。ついでにベース首はリュートの父親だと思われていたことは作者もわかっていたのか作中でメタ発言で言及したりしていたりする・・・けど明言はされていないけどヴォーカルの父親はたぶんケストラーだと思うわ -- 名無しさん (2024-05-17 10 10 18) ヴォーカルは続の方でまた大きく取り上げられてたな -- 名無しさん (2024-05-17 10 16 33) ギャグで中和しないと読めないというか中和し切れてないというか・・・。 -- 名無しさん (2024-05-17 11 27 04) 「人間と共存できない存在」という意味では『フリーレン』の魔族と同じなんだけど、こいつらの場合は人間の悪意を理解した上で行動するから人間への害悪度は創作の中でもトップクラスだと思う。まあどっちにせよ退治しないといけない。 -- 名無しさん (2024-05-17 11 29 39) ケストラーだって超強くて超怖いから従ってただけでどいつもこいつも本心では「こいつ死なねえかな」とか思ってる辺りどうして存在出来るのか不思議なくらい致命的に仲が悪い -- 名無しさん (2024-05-17 14 13 11) 悪意を理解したうえで行動するくせに、どいつもこいつもやたら人間臭いのも面白いな。 -- 名無しさん (2024-05-17 16 01 49) こいつらの存在からハーメルンはデビルマンの系譜なんだなって思う。向こうは人間も一皮むけば悪魔と同じだけど、こっちは人間も大概だけど悪魔はもっと酷いって展開だが -- 名無しさん (2024-05-17 21 00 36) そもそもどうやって新しい命が産まれているのか全く謎のまま。子作りも普通に出来るが非常に例外的で蔑視されるような行いとされているし -- 名無しさん (2024-05-17 21 32 09) 『フリーレン』の魔族項目ができた流れで作成されたのかな。それはそうとドラマCDでのドラム役の郷里大輔氏はドラゴンボールでもドラムという名前の魔族を演じていたな(もちろん楽器由来のネーミング) -- 名無しさん (2024-05-17 22 07 23) ↑2 おそらく合意の上ということがなくて強○がほとんどなんじゃないかな。人間の世界でも性加害者は刑務所での地位が低いというし『ハーメルン』の魔族も同じなのかも。 -- 名無しさん (2024-05-17 23 08 44) こんなやべーやつらでもギャグパートではしっかりボケてくれるのが凄い漫画だと思う -- 名無しさん (2024-05-17 23 54 12) 一度フルートが三途の川渡りかけて際には何故か天国にいた幻竜王さん -- 名無しさん (2024-05-18 07 32 43) ヴォーカル好きだったな…イケメン・強い・エロい・残虐…強いていうならもう少しギャグシーンが見たかった -- 名無しさん (2024-05-18 08 07 39) 続で明らかになったヴォーカルの出自は本編でも伏線が出てる ケストラーがハーメル、サイザー、ヴォーカルの聖杯を望んでたのとか結構露骨 -- 名無しさん (2024-05-18 19 03 34) ファゴットはオーボウにも知られた強豪扱いだったのに魔界軍ではないのはなぜだろう。最初に出てきた魔界軍の正規部隊は冥法軍の幽騎兵団だったよな、確か -- 名無しさん (2024-05-18 21 04 18) ケストラー>>>>>>オーボウ>ベース=封印されてないヴォーカル>>リュート>封印されたヴォーカル>>>残りの軍王、くらいかな -- 名無しさん (2024-05-18 21 11 10) ヴォーカルの出自、明言される機会があってよかった。 -- 名無しさん (2024-05-20 23 30 21) ケストラー吸収ギータは流石に本人よりは大分劣ると思いたい -- 名無しさん (2024-05-20 23 56 41) まあ、ドラムやサイザーの血を舐めたギータはどう見ても彼らほどの強さではないから、ケストラーの血を舐めても本人ほどの強さにはならんでしょうな。聖母殺人伝説であっけなく蒸発するあたり、ヴォーカルやベースより劣ってそう -- 名無しさん (2024-05-21 00 43 46) 魔界とやらにはケストラーみたいなのが他にもいるのかな? -- 名無しさん (2024-05-21 00 44 13) 本編中ほぼシリアスキャラ通してたベースも地獄に堕ちた途端すっかりギャグキャラに… -- 名無しさん (2024-05-22 20 55 16) 大体同時期に立った3種の魔族項目のうち、グルグルはともかく現役人気コンテンツのフリーレンも抜いてこれが勢いダントツなのはアニヲタの年齢層を推察できるとともに、こいつらのキャラ立ちを改めて思い知らされたというか… -- 名無しさん (2024-05-23 23 22 24) ここまで続くとドラゴンクエストの魔族の記事まで欲しいぐらいですな。ちなみにだが、続編の妖精王バラライカについては書かないのかな? -- 名無しさん (2024-05-24 07 35 42) 聖母殺人伝説が当たれば魔王だろうが殺せると言うのは一応過去の質問コーナーだか何だかで明言されてたんだけど(笑)が付いてたので、まさか回収されるとは思わなかったな -- 名無しさん (2024-05-24 09 21 55) 悪性を -- 名無しさん (2024-05-27 19 08 41) ↑11 第一次スフォルツェンド大戦で北の地に帰らずに放置されていたか、もしくはパンドラ襲撃時に居残ったとかじゃない? まあ初期オーボゥの話はサイザーについてかなり適当な誤魔化しを言っているから真に受けないほうがいいだろうけど・・・ -- 名無しさん (2024-05-27 21 01 48) ↑4 ドラクエの魔族って魔物(モンスター)と区別が曖昧だし作品ごとに設定も違うからな。記事にするにしても苦労しそう。 -- 名無しさん (2024-05-27 21 23 36) ↑その分だけ勢力があるってことでネタにいいんじゃないか。主要な勢力ぐらいで良いし、細かく雑魚の一体まで書く必要はないしな。むしろ細かいプロフィールは個別記事があるから、作品ごとの大体の勢力図などが主体になってくるだろう -- 名無しさん (2024-05-27 22 14 12) 名前 コメント
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【伝説の剣】 桃カンを開けるという、珍妙な経緯で開発された剣。 ダル・セーニョの王族が守っている宝石(ルビー)に聖なる者の魂を取り込ませたものを剣の柄の穴に入れると、何でも斬り裂く剣になる。 しかし、宝石あるいは聖なる者の魂がなければ、何も斬ることができない(逆に、何をしても斬られる事もないらしい)。 ちなみに、桃カンを開けた時には、聖なるカブトムシの魂を宝石に取り込ませたらしい。 なお、出典自体は18巻。詳しいことが解るのは19巻前後。 ラルクに支給。 【ハーメルのバイオリン】 もとはハーメルの母親のパンドラのものだったが、作中ではずっとハーメルが所持している。 ハーメルの祖父のヴァィ・オリンが作った魔器であり、特別製。 ハーメルによく鈍器として使われているが、まったく痛まない。 一度破損したことがあるが、それ以降きつい攻撃を壊れることはなかったため、相当頑丈であると思われる。 修理する際、オリンの改造により「ド」の音でドリル、「レ」の音でレーザー、「ミ」の音でミサイル、 「シ」の音でジェットを出せるようになった。 チョッパーに支給。 【ライエルのピアノ】 重さ500㎏、耐火性の特別製ピアノ。 話の中でよく投合武器として使われるが、傷一つ付かない丈夫さ。 ケロロ軍曹に支給。 【伝説の剣のルビー】 伝説の剣の鍔元に嵌めこむルビー。聖なる存在の魂を吸い込むことが出来る。 ヒグマの大将に支給
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作品データ タグ: 1990年代 凍結 展示される 水晶封印 漫画 解除可能 ジャンル 漫画 種類 水晶封印 性別 女 内容 主人公ハーメルと妖鳳王サイザーの母親であり、大魔王ケストラーの妻でもあるパンドラは、氷縛結界の呪法を受けて魔族の本拠地である北の都に囚われていた。 物語終盤まで水晶に囚われていたため、シリーズを通してその姿を見ることができる。 画像・動画 魔族の城で水晶に封印された謎の女性。 冥法王ベースは水晶に囚われた物言わぬ母親を見せつけ、サイザーに対して人間への敵愾心を煽った。 回想シーンでパンドラが魔族に捕らえられて水晶封印されるに至った経緯が語られる。 魔族の封印されていた箱を開けてしまったことで人間から迫害視されていたパンドラ。大魔王の血を引く息子ハーメルを守るため魔族の追跡部隊と戦ったパンドラだが。 守ろうとした人間に裏切られて捕まってしまう。 冥法王ベースの呪法を受けて氷縛されるパンドラ。 ストーリー後半もシリーズの要所要所でパンドラが登場する。 タグ: 1990年代 凍結 展示される 水晶封印 漫画 解除可能 リンク あったら 批評・コメント なお原作はギャグとシリアスがカオスに混在する漫画のため、回想シーンのパンドラの壊れっぷりを見て衝撃を受けた人が多数。アニメ版もあるが、こちらは全編シリアスな上に物語やパンドラの辿った結末も180度異なる。 名前 コメント
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その昔 この世の果てにすべての「悪」が籠められた箱があった…その箱をパンドラという女が…開けてしまったのだ…この世のありとあらゆる邪悪なるものが飛び散っていった…世界は暗黒の闇に閉ざされたのだ…平和だった人間界には魔物モンスターが巣くい人々を苦しめ 数々の悲劇が生まれた…己の罪深さに嘆き悲しんだパンドラであったが…箱の中から最後に希望がでてくる……はずだったんですけど…… 北ヨーロッパの山間部。大荷物を背負った少年・ビオラが、山中の森を歩いている。 ビオラ「不気味だな この森… 昼でも暗いし… 魔物でもでそうだよ」 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ビオラ「な なんだろう?」 第1楽章 母に捧げる交響曲(シンフォニー) 木にもたれて座っている青年が、自分の身長ほどもある巨大バイオリンを肩に担いで奏でている。主人公のハーメル。 ビオラ「なんて美しい人なんだろう (優しさと悲しみが同調したかのような瞳の… そう── この曲と同じだ 弾き方はマヌケだけど とても美しくて素敵な…… 心の奥まで澄みとおるような暖かく優しい曲…)」 胸のペンダントの中に、母と幼い自分の写真。 ビオラ (まるで母さんみたい) 音楽に導かれるように、数羽のハトがハーメルのもとに舞い降りる。 ビオラ「えっ? (こっ… 幸福と平和を象徴するハトが… この人…… 神様……!?)」 すると突如、ハーメルは人が変わったように巨大バイオリンを振るい、ハトたちを叩きのめす。 ハーメル「うおりゃあぁ」 ハトたち「げぇ」「ぐぇっ」「ぎぇ」 ビオラ「へぅ?」 さらにハトを焚き火で焙り、むさぼり食べ始める。 ハーメル「けっ 今日もハト肉かよ しけてやがるぜ」 相棒のカラス・オーボゥがハーメルをど突き、ハーメルの顔を炎の中に叩きこむ。 オーボゥ「えーい アホ者──!」 ビオラ「!! えっ?」 ハーメル「何しやがんだ てめぇ! この俺様のビューティフル・フェイスがこげちまったじゃ」 オーボゥ「やかましいわ アホ者──!! おまえはそんな事にしかバイオリンを使えんのか」 ハーメル「ハラ減ってたんだからしょーがねーだろ──が!! てめぇも食っちまうぞ!」 ビオラ「カッ カラスがしゃべってる」 ハーメル「んっ 誰だ おまえ」 オーボゥ「おやっ?」 ビオラ「えっ あっ その…」 オーボゥ「ホホホ これはとんでもないトコ見せてしもうたの……」 ビオラ「すっ すいませんでした のぞくつもりはなかったんですが… あまりすばらしい曲だったもので つい…」 ハーメルはハトの焼き鳥に夢中。 ハーメル「ほめたって わけてやらんぞ」 オーボゥ「食うんじゃねーよ! おめーは!! まったくこやつは… そろそろいくぞ!」 ビオラ「旅の方… ですか?」 オーボゥ「左様……」 ハーメル「北へ… わざわいを鎮める旅をしている」 一転して真剣な眼差しで言い放つ彼に、ビオラは呆然とする。 ビオラ「あ… あの旅人さん よかったらボクのうち きませんか? すぐそこなんで…… たいしたもてなしはできませんが お客さんは大歓迎ですよ」 ハーメル「家……? こんな山の中に住んでいるのか?」 ビオラ「えぇっ… ボクはビオラっていいます あっ こっちですよ」 その様子を陰から、大柄な魔物が見ている。 魔物「へへへ… 旅芸人かい 金 持ってるかもしれねェな しかも あのガキんとこにいくたぁ ちょうどいい… まとめてぶっ殺してやるぜェ!」 ハーメルたちはビオラの家へ招かれる。 ビオラ「すこしボロだけど いい家でしょう… まってて 今あったかいスープ入れるから」 オーボゥ「すまんの 他に人が見えんが…… 親はどうしたんじゃ?」 スープを温めながら、ビオラはオーボゥの問いに肩を震わせる。 ビオラ「母さんは死にました」 言葉を失うハーメルたちに、ビオラがスープを勧める。 ビオラ「山の中で不便で貧しかったけど ボクと母さんは平和で幸せに暮らしてました… あいつがくるまでは!」 幼い頃の回想。ビオラと母に、巨大な魔物が迫る。母「お願いです この子だけは! この子だけは助けてあげて下さい! この子だけは!!」ビオラ「母さん!!」魔物「ケッ! 貧乏人が! 金も持ってねぇくせによ…… 死にやがれェ!」母「!!」ビオラ「……」母は必死にビオラを抱きしめ、自らを盾とする。ビオラ「かっ…」優しくビオラに笑みかける母に、魔物の攻撃が直撃──ビオラ「かぁさぁん!」 話しながら、ビオラは涙をあふれさせている。 ビオラ「母さんは…… ボクを守って最後まで笑ってたんだ ボクに心配かけまいと 最後まで……」 オーボゥ「なんとも気の毒な話よのう まだ母を恋しむ幼き子に このような仕打ちを…」 ハーメルが優しい笑みを浮かべ、ビオラの肩に触れる。 ビオラ「たっ 旅人…さ…ん…」 ハーメル「おかわりはないのか?」 ビオラ「へっ?」 ビオラの語りをそっちのけで、ハーメルはスープを鍋ごと平らげはじめる。 オーボゥ「おめーは人の話 聞-とらんのか── すっ すまんのう ビオラくん 本当はいい奴なんだが 見ての通りの大バカ者でなあ…」 ビオラ「え えっえ わかってますよ あんな素敵な演奏する人だもの すばらしい人ですよ 最初見たときは 神様かと思ったくらいだもの」 ハーメル「演奏で思い出したが……」 ハーメルがビオラに1枚の紙を差し出す。「請求書 1000000円 すげーすばらしー演奏代として」。 ビオラ「これは……?」 ハーメル「請求書だ 俺の演奏を聞いたんだからな…」 ビオラ「…… はっ 払うんですか? これっ」 ハーメル「あったりめーだろーがぁ!! ボケぇ~!!」 ビオラ「……」 ハーメル「ちょっと聞くだけで気分はレッドゾーン!! このサイケデリックバイオリニストの俺様の演奏を聞いたんだからな──!!」 ビオラ「はっ はい…」 ハーメル「この超特大バイオリンからかもしだされる甘美なハーモニーは ウィーン交響楽団がハダシで逃げ出してとほほほするほど すげ──んだぞぉ 光栄におもえ──い!!」 オーボゥ「こっ こりゃあ おい いいかげんにせんか!!」 ハーメル「じゃかまし──!」 オーボゥを殴り飛ばすハーメル。 オーボゥ「ぐほっ!!」 ハーメル「だいたい このせちがらいこのご時勢に あんなドまずいスープだけで元とれると思ってんのか──!! け──っ これだからガキってのはよ──!」 ビオラ「ごっ ごめんなさい」 ハーメル「この世で何が一番モノいうかってーと やっぱ金よ! 金持ってる奴がエラいんだよ──! あとはみんなクズだぁー!!」 ビオラ「あ あくま…… で でもウチは貧乏だし… お金なんてこれっぽっちも……」 ハーメル「…… それならしかたない」 ビオラ「えっ! いいんですか──!! (よかった… ちょっと冗談がすぎる人だけど 本当は……)」 ハーメルは家の中をあらかた盗み始める。 ビオラ「ああっ!」 ハーメル「けっ ろくなもんがねーなァ」 ビオラ「まって下さい! それをもっていかれると生活がぁ──!」 ハーメル「じゃかぁしいわい! 金払えんって言ったのは おまえやろが──!! これが社会のルールじゃあ よくおぼえとけ ボケ──!!」 ビオラ「母さん たすけて」 ハーメル「常識もわからん奴ぁこまるぜ ったく親のツラがみてぇや……」 オーボゥ「そりゃあ おまえじゃあ ボケェ──!!」 今度はオーボゥがハーメルを吹っ飛ばす。 ハーメル「何しやがんだ てめー!」 オーボゥ「どアホ者! おまえには人の心がないのか! だいたいだなハーメル! おまえはいつもカネ金かねとかな…」 ビオラ「ハーメル…… この人の名前…… まさか…」 突如、大きな振動。 ハーメル「!?」 声「わははは 人間共 出てきやがれェ──!」 オーボゥ「なっ なんじゃあ いったい?」 声「出てこねェと 家ごとふっとばすぞ──!!」 ビオラ「こっ この声は!」 先ほど様子を伺っていた魔物が、姿を現す。 魔物「うわっはは へへへ てめぇら金出しな!! 殺されたくなけりゃあな!」 ハーメル「野党の魔物か!」 ビオラ「やっぱりこの魔物は……」 オーボゥ「ビオラ!」 ビオラ「母さんを殺した奴だ──!」 ビオラが飛び出すが、あっという間に魔物に殴り飛ばされ、踏みにじられる。 オーボゥ「ビオラ!」 魔物「なんだぁ このガキゃあ~ 人間の分際で魔物様に逆らいやがってよ… わははは けっ 見たところ前にきた時と変わっちゃいねぇな… フン 貧乏のままだぜ! スズメの涙でも蓄えがありゃあ 俺の根城(アジト)にたんまりあるお宝のたしになると思ったが 役にたたねェクズめが!」 ハーメル「……」 魔物「しかたねェ 死んでもらうか」 さらにビオラが棍棒で殴り飛ばされ、血が飛び散る。 魔物「わははは!」 ビオラ「よっ よく…も かっ 母さ…ん を…… 母さんを!」 ビオラはボロボロになりががらもヨロヨロと立ち上がり、目に涙をためつつ、図太い魔物の脚を殴り始める。 あまりに弱々しいその拳は、とうてい魔物に通じるわけもない。 ビオラ「よ… よくも… 母さんを…… 母さんを!」 魔物「こっ このガキがぁ!! ナメんじゃあねーぞ コラぁ!! 俺はこの手で何百人も殺してんだ! てめぇのババァなんざ知るかぁ──!」 魔物はボロボロのビオラを、さらに痛めつける。 ビオラ (母さん ごめんね) 魔物「オラぁ とどめだ 死にやがれェ」 ハーメル「それくらいにしとけ!」 ビオラ「た 旅人さん…」 魔物「さっきの旅芸人か… おまえは金持ってそうだな…… 死にたくなけりゃあ有り金残らずよこすんだな!」 ビオラ「に 逃げて! 殺されます」 ハーメル「だまれ 悪魔が」 魔物「なに?」 ハーメル「きさまには地獄の鎮魂曲(レクイエム)がふさわしい!! 聴け! 邪悪な魔物! 魂の演奏を──! 『シューベルトの子守歌』だ!」 ハーメルが巨大バイオリンを担ぎ、奏で始める。 魔物「なっ あんだあ こいつ…? マヌケなカッコで楽器なんか弾き始めやがって (しかしこれは)」 ビオラ (さっきの曲とはちがう…… もっと力強く それでいて繊細な… 心に静かに優しく暖かく 入りこんでくる…) 演奏の中、ビオラの視界に夢とも幻ともつかない情景が広がる。 空から何人もの幼い天使たちが舞い降り、ビオラを囲み、笑いかける。 ビオラ (天使…… これは夢?) そこは一面に広がる草原と花畑。彼方に人影── それは、今は亡き母の姿。 ビオラ「かっ 母さん 母さん!」 優しく微笑む母の胸に、ビオラが涙をあふれさせながら、飛びこんでゆく。 ビオラ「わ──ん!」 ハーメル「芸術的な歌曲を数多く作り『歌曲王』と呼ばれたシューベルトが 母親の優美さ いとしい我が児(こ)への愛情を自然な音の動きで見事に表現した名歌曲だ……」 ビオラ「母さん…… すごく優しくてあったかいな」 声「ううう…」 ビオラ「!?」 魔物が目を潤ませ、滝のように涙を流してビオラを抱いている。自分が抱きついたのは母ではなく、魔物。 ビオラ「ゔわ゙──っ゙!!!!」 魔物「うっうっ わーん ごめんよー~ 俺がわるかったよ──! 俺は今までなんてひどい事をしてきたんだ──!! 許してくれェーい!」 ビオラ「バ バイオリンのすばらしい演奏によって 凶悪な魔物を改心させてしまった この人 神様?」 魔物「ごめんよぉ 俺がわるかったよー!! たのむ 俺をなぐってくれェ~ 気のすむまでなぐってくれェ~!」 ビオラ「あっ あの…」 ハーメル「よっしゃあ なぐったるわい!」 またもハーメルの態度が豹変し、魔物を叩きのめす。 ハーメル「おらおら このくれェじゃ気はすまねーぞ おめぇもなぐるんなら今だぞ──!!」 ビオラ「い いえ…」 ハーメル「聞くが… おまえの根城はどこだ……?」 魔物「あっ あの山の向こうですが…」 ボロボロになった魔物が、泡を吹いて気絶する。 ビオラ「あ ありあとうございました なんてお礼をいえばよいか… おかげ母の敵(かたき)がとれました」 ハーメル「礼などいらん! 金もな ゆくぞ オーボゥ」 ビオラ「なっ? あ… あの旅人さん あなた もしや」 その実力は大魔王でさえ凌駕するといわれる辺境最強の戦士──しかも武器らしいものは何ひとつ持たず魔物を倒す勇者ハーメル!! 夕陽の彼方へ颯爽と去ってゆくハーメルの雄姿を、ビオラが見送る。 ビオラ「やっぱりそうだよ (母さん 本当に神様だったのかもしれないよ…)」 「北へ」 「ゆくまえに……」 魔物のアジト。ハーメルが魔物の貯め込んだ財宝に歓喜している。 ハーメル「わははは あのバカモンスター こんなにためこんでやがった──!」 オーボゥ「おまえは勇者としての自覚がないのか──!」 そしてビオラの家では、母性愛に目覚めた魔物が、割烹着姿で目を潤ませている。 魔物「お母さんて呼んでもかまわないのよ ビオラちゃん♥」 ビオラ「助けて ハーメルさ…んっ」 (続く)
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シェルの故郷の村。 ゲーテが買い物途中で、ため息をついている。 店主「どうした? 元気ねェなあ ゲーテ… もうすぐ祭りだってのに… もっと景気よくしねーと」 ゲーテ「うるさいねー しかしまぁ… 妖精神祭から もう1年か… シェル坊が村を出てから そんなに経つんだな… 追うようにハーモニーも出て行ったし… 何かわけがありそうだったけど… どうしてるのかねェ… あの子ら…」 グローリア帝国。 グローリアス15世の前に、妖精兵器の大群が勢ぞろいしている。 グローリアス「親愛なるグローリアの同志諸君!! 雌伏の時は過ぎたッッ!! 20年前の敗戦以来… 困難を極めた我が国の再建 近隣国からの侮蔑… スフォルツェンドの横暴… 度重なる屈辱に耐える日々は終わるのだ!! かつての大戦で魔族共に臆することなく果敢に戦った国はどこだ!? グローリアだッ この世界に君臨すべき偉大な国はどこだ!? グローリアだッ!! 世界で最も叡智なる民族はどこの民だ!? グローリアだッ!! 今こそ帝国のあるべき地位を取り戻す聖戦が始まるのだッ──! 勇気の行軍を見せよ──ッ グローリアに栄光を──ッ!!」 兵たち「ウオオオッ グローリィ オブ グローリア!! グローリィ オブ グローリア!! グローリィ オブ グローリア!! グローリィ オブ グローリア!!」 幹部のバロックとノクターンが、その演説の模様をテレビで見ている。 バロック「感動的な閣下のスピーチだったねェ… 僕らも参加したかったけど 間に合わなかったねェ…」 ノクターン「ああ… 今はこいつの綿密なデータを取る必要があるからな… 脳解剖するゾ…」 妖精兵器に改造されたシェルの幼馴染みのハーモニーが、首だけの姿となって2人の前にある。 ノクターン「この娘が何故… あの…シェル・クン・チクとかいうガキの記憶を残していたのか…」 そばの研究員2人が、薬瓶を取り落とす。 ノクターン「なんだっ!! 何してるっ!!」 バロック「あーあ 貴重な薬品がこぼれちゃったじゃないかァァ──!」 研究員「すっ すみません」 バロック「ええい バカ者がぁ──っ!」 研究員「ああっ」 バロック「妖精学者だから生かしておいてやったのに… 能ナシがぁ… 今度失敗したら兵器にしてやるからな──」 研究員「すみません すみませんでしたぁ──」 バロック「フン 愚民が」 研究員「あなたっ 大丈夫ですか──っ!!」 研究員2人が、互いをかばい合う。 「それより聞いたか…!?」「はっ はい… まさか」 「シェルが…」「あの子が 生きていたなんて!」 「オレ達は奴らに捕まり 研究員にされたけど」「あの子は… ああ よかったぁ」 「シェル 無事でいてくれッッ 父さん… 母さんも」「がんばるからねっ──っ!!」 バロック「おい! さっさとかたづけろ!!」 研究員「はっ はい」 バロック「しかし脳解剖って 細胞単位で分析するのかい? 記憶障害をおこして使いものにならなくなったりしない?」 ノクターン「そうなったら別の戦闘用データを組み込めばいい いらない過去は抹消するだけだ」 ハーモニー (シェル… 何があっても 私… あなたを 忘れない…) そして、ハーモニーの黒い妖精が、そばで鳥籠に閉じ込められている。 「まさか…ね ピロロ姉ちゃんの妖精兵器と 戦う事になるとはね」 一方、グローリア帝国へと旅立ったシェル一行。 ティナー「だいぶ都市(まち)から離れたよな」 グレート「そろそろ国境も近い…」 ティナー「発明家じいさんの家も近いんじゃねーの?」 グレート「なあ シェル… どこら辺なんだよ? じいさん家(ち)」 シェルからの返事はない。 ティナー「どうしたんだよ」 グレート「おまえ まさか…」 グレート「なにィ──っ 知らなィィ~! なんじゃそりゃああ──っっ!!」 ティナー「どういうう事なんだぁ~っ!!」 シェル「いや あの いろいろあったから 聞き忘れちゃってェ~」 グレートたち「あ──っ!!」 シェル「いや…っ だって いきおいで出てきたから みんなに言いづらくって…」 グレート「どうすんだよ! ここまで来たのにィィ!! ぜんぜん違うトコ来てるかもしれねーじゃねーかッ」 シェル「みんなの前向きな気持ちを盛り下げたくなくて」 ティナー「ふざけんな!」 グレート「だからって後回しにすんじゃねェ──」 助力のために一行を追って来たケストとサイが、陰で様子を窺っている。 ケスト「どうしようか… 出てって… 教えてやろーか?」 サイ「でも… 助けるの… すごく早くない?」 クラーリィ校長はスフォルツェンド公国から、水晶玉で一同の様子を見ている。 クラーリィ「うん… ちと早い…」 ティナー「よくよく考えたらシェル(こいつ)… こういうとこあるよなー」 シェル「えっ!?」 ティナー「熱血漢だから こうと決めたら突き進んで… それまずいんじゃねーのって思っても… なんとかやってやるぅーって いきおいでやって…」 シェル「うっ」 ティナー「案の定 失敗してなー」 シェル「うっ」 グレート「思えば入学式からムチャやってたよナー オレのおかげで なんとかなったけど… どうする気だったんだ?」 シェル「うっ」 ティナー「試験の時だってガムシャラなだけで けっきょく何もできなかったしな ピロロが手を貸してやったから 何とかなったんだよなー ピロロのケンカだってシェルが意地張ったから こじれたんだよナー」 シェル「くっ… それは…」 ビィオーネ「あー じゃあ そんな事言ったらサー ハーモニーの事も『大魔法使いになるッ』とかいって魔法学校に入んなくても~ クラーリィ校長にわけを話せばなんとかなったんじゃないのー?」 シェルがその言葉に、衝撃を受ける。 ビィオーネ「そうしたらもっと早く解決して~」 ピロロ「なななな何言ってんのよ そんな事したら… シェルは… 自分が捕まって検体されると思ったからよー! 自分でやろーと思ったのよ──っ!!」 ビィオーネ「わからないよー 意外にいい人だったじゃん… なんとかしてくれたかも──」 ピロロ「だだだだだからー 子供の頃から憧れのクラーリィに大魔法使いになるのを見せたかったのよー!!」 グレート「でも その間にハーモニーは改造されちまったしな──」 ピロロ「1年あると思ったの!!」 グレート「1年でなんとかなると思ったのかな?」 ティナー「確かに考えが甘いな あいつ賢そうな顔立ちしてるがバカだな…」 ビィオーネ「考えなしで突き進むタイプね…」 グレート「『運命を変える』って頭悪いのごまかしてるみたいだな」 ピロロ「シェルのせいでハーモニーがぁ~」 ブラーチェ「ちょっとやめてよッ みんなッッ ピロロちゃんまで!! 大丈夫よ シェルくん……!! 元気出して…!! いつものように… 運命を… 変えるんでしょ!?」 ブラーチェの励ましはもはやシェルには届かず、シェルはうつろな目で、薄ら笑いを浮かべている。 シェル「へへへっっ へへっ」 ブラーチェ「あっ あんなに前向きだったシェルくんが… やる気を失ってる」 ティナー「おっ また考えなしで落ち込んでるゾ…」 ブラーチェ「やかまし!! とにかく… 行こう──っ!! 運命を変える冒険の旅へ──!」 ティナー「行く先わからんのにか?」 ブラーチェ「行かないと奇跡も起きないでしょ──!!」 ケストたち「…」「やっぱり教えてやるか?」 クラーリィ「…」 ハーメルンのバイオリン弾き ~シェルクンチク~ おわり ■ 単行本最終巻収録 おまけマンガ シェルの必殺の魔法が、グローリア帝国に炸裂する。 シェル「くらえっ!! シェルクザールスフィナーレェッ!!」 ハープシコード「ぐああ… そ… そんな… 馬鹿なあぁ──!!」 仲間たち「ああっ やったわっ!!」「ついにグローリアを──ッ!」 グローリアは滅び、元通りの姿となったハーモニーが現れる。 ハーモニー「やったわね シェル… おめでとう」 シェル「ハ… ハーモニィィ ああっ ハーモニー… 元に戻ったんだね!!」 ハーモニー「シェルッ! あなたの勇気と優しさ 強さのおかげよっ!!」 ──という夢を見ながら、シェルは眠っている。 シェル「うーん… ハーモニィィ よかったぁ よかったよぉぉ~」 グレート「シェルッ! おい シェル 起きろッ!!」 シェル「んっ… あれ…? 夢…?」 グレート「ったく 幸せそうな顔(ツラ)して… 寝やがって どーせグローリアでも倒して… ハーモニー救った夢見てたんだろ? 都合よくヨー あいかわらず考えなしだぜ… なぁッ!! 道もどーしていーかもわかんねーのに まったく考えが甘いヨなー」 シェル「うっ」 グレート「頭がお気楽でいいなー さすが考えナシ」 シェル「うっ」 グレート「ハーモニーをあんな目にあわせるだけあるぜー よっ 能ナシー!!」 シェル「はぅっ」 グレートの言葉が次々に、シェルに突き刺さる。 シェル「うっ… うぅっ ちきしょう… なんだよぉ そー言った自分だって ソ○ンじゃないか──っ!!」 グレートがその言葉に、衝撃を受ける。 グレート「(ソチ○… ○チン… 最終回…でも… おまけマンガでもソ○ン…) うぐうぅ… くそぉっ こーなったら……!! 多大な情熱と才能を持ちながら貧困と不運… そして病に苦しんだ… フランツ・シューベルトの── 31歳の短い生涯の最後の年に死と戦いながら創作した… 交響曲第9番ピアノソナタ白鳥 弾いてやるぅ──っ!!」 シェル「そんな偉大で立派な曲を こんなくだらない事で… ああっ シューベルトが泣いている…」 グレート「なんだとぉ── てめーちょっと自信があるからってなー」 シェル「なんだよー グレートだってよー!」 ティナー「おいっ いーかげんにしろヨ ソチンとノーナシ… したくしろヨ…」 グレート「うるせーな この…」 シェル「ハナクソボール母ちゃんの子がぁぁっ」 今度はティナーが衝撃を受ける。 ティナー「ハ… ハナ… ハナ…クソ ボ… うわぁぁん ハナクソボールなんかじゃないゾー それに母ちゃんは関係ないだろー!! シーザースラッシュ!!」 グレート「おれを魔王と呼ぶなぁ──っ!!」 ティナー「我が一族の誇りにかけてェェ──!」 シェル「こーなったらボクも… シェルクザールス──ッ!」 ピロロ「シェルッ!! やめてェェー! 今… あなたが撃ったら その体がバラバラに吹き飛ぶわぁぁー!!」 シェルたちが、およそ低次元の激闘を繰り広げる。 ビィオーネは呆れ果て、ブラーチェは一同を尻目に食事を作っている。 ビィオーネ「……大丈夫かねぇー こんな連中といっしょで……」 ブラーチェ「あっ… おいし♥ 味つけ うまくいった♥」 ── 完 ──
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雨の降りしきる夜。 地面に異形の怪物の肉片が蠢いている。手傷を負った異形の魔物。そして、魔物に挑む5人の者。 「く、くそぉ…… てめぇらなんかにやられてたまるかよぉ…… 何が5つの希望だよぉ! なんとか言ってみろぉ! ハーメルゥゥ──ッッ!!」 太古より人と魔族の戦いは、 その姿と形を変えつつ幾度となく繰り返されてきた。 だが、後に 「第2次スフォルツェンド大戦」と呼ばれる聖戦の幕を あの美しくも哀しい1曲のバイオリン演奏が開くとは、 誰が想像したであろう── 平和でのどかな村。どこからか光の壁が村中を駆け抜け、森の中の大岩から、魔物が姿を現す。 スフォルツェンド公国の王城。十数人の術師が、魔法陣を囲んで祈祷を捧げている。 しかし、術師が1人、また1人と倒れてゆく。 「第18結界師ビオラ様、倒れました!」「第27結界師シタール様、倒れられました!」 「どうした!? ヤツの結界返しを止められんのか!?」 「このままでは、千日手結界を越えて、完全にこちらの世界へ入ってくるぞ!」 謎の声「ハッハッハ。いい覚悟だ。わかっているではないか」 「結界師タンブラー様、お倒れになりました」 魔王軍の本拠地、北の都。魔王軍王長・ベース。 ベース「ついにこの日がやって来たのだ。貴様らの張ったうっとうしい結界のおかげで、我々はこの15年間、この北の都に追いやられ、身動きできなかった…… しかし、もうそれもおしまいだ」 スフォルツェンド公国・女王、ホルン。 ホルン「そうはさせません! 私がここにいる限りは、千日手結界、好きなようにさせるものではありません! 魔界軍王、冥法王ベース!」 ベース「フフフ…… 久しぶりだな。女王様」 再び村中を光の壁が駆け抜け、大岩から現れた魔物が、岩の中に戻る。 ベース「さすが、世界一の法力使い…… しかし!」 魔法攻撃の衝撃がホルンを襲う。 ホルン「うぅっ!?」 ベース「思った通り…… 貴様も自分の身体の限界は、どうにもならんと見える」 ホルン「いいえ、命に代えても!」 ベース「いぃや、ムダなことだ! なぜなら、すでに運命の歯車は回り始めた!」 ホルン「!?」 ベース「そうだ。大魔王の復活をかけた運命がな」 鎮魂歌(レクイエム) ここは、平和でのどかなスタカット村。 水車小屋に1人住む主人公・ハーメルが、鏡を覗き込む。頭に1本の角が生えている。 ハーメル「なんだ、これは? 今朝起きたら急に…… なぁ。何だと思う、オーボゥ?」 窓際に止まっているカラス、オーボゥに語りかけるが、オーボゥは答えない。 ハーメル「なぁ、オーボゥ?」 女性の声「それは2つの道──」 ハーメル「えっ?」 どこからか女性の声が聞こえるが、周りには誰もいない。 女性の声「そう、あなたの2つの道──」 そこへ、幼なじみの少女・フルートが駆け込んで来る。 フルート「ハーメル──! 何してるの、ハーメル? もう朝ごはん食べたの? あら、食べたのね。お片づけやお掃除やお洗濯は、今日じゃなくてもいいでしょ? 何グズグズして……」 ハーメルはとっさに、角を隠すために帽子をかぶる。 フルート「あら、なぁ~んだ。お出かけの支度してたとこなのね。じゃ、早くぅ!」 ハーメルを連れて家を飛び出したフルートが、養父でもある村の長老、レシクと鉢合せする。 レシク「おっと。おいおい、そんなに急がなくたって」 フルート「だって、今日は年に一度の収穫祭よ! お日様が昇ってお月様が高くなるまで、ちょっぴりの時間もムダにしたくないの。ほら、去年だってハーメルったら、お昼過ぎまで寝ちゃってて、気づいたらもう…… その前もうっかりして、麦畑で1日寝てたり!」 レシク「おはよう、ハーメル」 ハーメル「長老、おはようございます」 レシク「もう~、ダメじゃない! 肝心のバイオリン忘れちゃあ! オーボゥも早くいらっしゃい。お爺さん、先に行ってるね!」 フルートがハーメルの手を引き、村人たちに声をかけつつ、村道を急ぐ。 フルート「おばさん、おはよう!」 村人の女性「おはよう、フルート」 フルート「すてきな朝ね!」 村人の女性「あぁ、いい祭りになりそうね」 村人の男性「ハーメル! 今日もいい曲、頼むぞ!」 ハーメル「あ、あぁ!」 フルート「大丈夫よ。ほら、バイオリンはしっかり……」 慌てた末にフルートが石につまづき、ハーメルを巻き添えにして転倒。 村人たち「ハッハッハ!」「よぉ、いつも仲がいいねぇ!」「ご両人!」 フルート「もう…… 行くわよ、ハーメル!」 ハーメル「あっ! おい、バイオリン!」 丘の上の森の中から、1人の老人が村の景色を見渡す。 老人「間違いない、ここだ」 1羽の小鳥を捕え、足に手紙をくくりつける。 老人「さぁ、到着したことだけでもお伝えせねば」 その小鳥を空へ放つ。しかし、木々の間から不気味な触手が飛び出し、小鳥を捕える。 老人「何っ! まさか!?」 謎の声「見つけたぞ── 確かに見つけた── あいつを見つけた──」 老人が剣を抜き、思念を込める。 老人「行け……!」 小鳥が触手から解き放たれて空へ飛び立つが、老人自身が触手に捕われてしまう。 老人「うわぁぁ──っ!」 丘の麓を行くフルートたちが、悲鳴に気づく。ちょうど目の前に、あの老人が傷だらけで転げ落ちて来る。 フルート「きゃあっ!」 老人「う、うぅっ……」 フルート「誰? 知らない人…… ケガ? ケガしてる! ひどい……」 老人「あな……たは……」 フルート「しゃべらないで」 老人「も……もしや…… フ、フルー……」 フルート「ハーメル、何してるの? 手伝って! ねぇ、ケガしてるんだから早く!」 ハーメル「……あぁ、わかった」 ひとまず老人は、ハーメルの家へ運び込まれる。 オーボゥ「大丈夫か?」 ハーメル「さぁ……? でも、今は寝てるみたいだ」 オーボゥ「いや、その旅人を連れて来たことじゃよ」 ハーメル「掟のことか?」 オーボゥ「村には決して、よそ者を入れてはならん」 ハーメル「……」 オーボゥ「しかし、不思議とは思わんか? この、どこから見ても平凡でのどかな、平和そのもののような村に、なぜそのような掟が必要だと思う?」 ハーメル「さぁな…… 嫌いなんだろう、よそ者が」 オーボゥ「それじゃあ、どうしてわしらはここで暮せている? その、よそ者のわしらが」 そこへフルートが、荷物を抱えて現れる。 フルート「お待たせ。その人はどう?」 ハーメル「大丈夫。寝てるよ」 フルート「本当、大変なことになっちゃったよね。今日はお祭り」 ハーメル「そろそろ行かないと」 フルート「あ、待って。じゃあ、これ!」 荷物の中から、黒い布を広げるフルート。 フルート「へへ…… えいっ!」 ハーメル「わぁっ!」 フルート「ちょっと、おとなしく!」 ハーメル「や、やめろ!」 フルートの手により、ハーメルは黒い演奏用衣装をまとった姿となる。 ハーメル「これは……」 フルート「今度のステージ用の衣装。私が作ったのよ。でも、すっごく似合うわね」 ハーメル「行くぞ!」 フルート「これも!」 家を飛び出すハーメルが、フルートの放った帽子を受け取る。 フルート「ハーメル…… 本当、本当に良く似合ってるわ……」 一方で老人の放った小鳥は、ホルンのもとへ辿り着いていた。ホルンが小鳥の手紙により、事の次第を知る。 ホルン「頼みましたよ…… 一刻も早く!」 ベース「そう、うまくいくかな?」 ホルン「はっ!」 ベース「この15年の間、わしらが何の仕掛けもしなかったと思っておるのか?」 ホルン「仕掛け……?」 ベース「種はしっかりと蒔いておいた。貴様の術が弱まり、結界が緩むにつれて育つ種をな」 小鳥の体が弾け、無残な死体と化す。 夜、スタカット村の広場。祭りが催され、ハーメルたちの奏でる音楽に合せ、皆が楽しく踊り、歌う。 皆の様子を眺めているレシクのもとに、2人の村人がやって来る。 村人「どうしました、長老?」 レシク「あ? あ、あぁ。それがな…… フルートがおらんのじゃよ」 村人「フルートが?」 レシク「あんなに祭りを楽しみにしてる子が、ここがおらんとは……」 村人「ははっ。そんな心配しなくても」 レシク「うぅむ…… どうも気になるんじゃ」 レシクが、頭上の星空を見上げる。 村人「まさか……?」 レシク「やはり、星が多すぎるように見えてのぉ」 ハーメルのバイオリンの音色が響き渡る。 村人たち「いつ聴いても、大したもんだのぉ。あいつの演奏は」「あぁ。いつの間にか、あれはすっかり村の一員だ」 レシク「思い出すのぉ。どうやってか、わしらが、外からは入れぬはずのこの村にやって来て、本当ならたとえ子供であっても村に住まわせることはできんのに」 フルートはハーメルを連れ、家へと急ぐ。 フルート「早く早く!」 ハーメルの家では、あの老人が汗まみれで、苦しそうにうなされている。 フルート「見て。急にこんなになっちゃって。熱もどんどん上がっちゃって…… どうしよう、ハーメル? ねぇ。でも、お医者さんっていっても、村には連れて行けないし…… ねぇ。ねぇ、どうしよう?」 そこへ、レシクが現れる。 フルート「はっ、お爺ちゃん!?」 レシク「どうも様子が変だと思っていたら! フルート、この村の掟は知っておろうが! ハーメルもだ!」 家の隅に置かれている、老人の剣に気づく。柄に十字の紋章。 レシク「こ、これは……!? 2人とも早く、広場に戻りなさい!」 フルート「でも、この人が……」 レシク「後は私が何とかする。早く行くんだ!」 フルート「え、えぇ……」 レシクに押し切られ、ハーメルとフルートが家を出る。 レシク「そうか。ついに、お迎えが来たのか」 老人「は、はい…… 事態は、急を告げております……」 レシク「では、やはり結界が?」 老人「このままでは…… 一刻も早く、ひ、姫様を…… あ、あぁ……!?」 老人の口から、魔物の大量の触手が飛び出す。 ハーメルたちが異変に気づき、家を振り返ると、家から巨大な魔物の触手があふれ、レシクが捕われている。 レシク「フルートぉ! お逃げ下さい、フルート…… フルート姫様……!」 フルート「えっ……? 『姫』!?」 レシク「お逃げ下さい…… フルート姫……」 ホルン「まさか、あの子を!?」 ベース「そうだ。種は実った。それに、15年前に蒔いておいた種は、1つだけではない」 王城内の彫像が動き出す。 ベース「わしの声が届くのも、そやつらのおかげ──」 彫像が魔物と化してホルンに襲いかかるが、そこに現れた大神官クラーリィが、魔法の一撃で魔物を吹き飛ばす。 ホルン「クラーリィ!」 クラーリィ「ホルン様…… 無断でお部屋に入りました。お許しください」 さらに衛兵たちが駆けつける。 衛兵たち「ホルン様!」「ホルン様!」 クラーリィ「もう終わった。静まれ!」 衛兵たち「大神官クラーリィ様!」 (『お逃げ下さい、フルート姫!』) ハーメルとフルートが広場へ急ぐ。魔物が触手を振るい、後から追ってくる。 村人たち「なんじゃ、あれは!?」「魔族じゃないのか!?」「そんなバカな!?」 レシク「守れ──っ! フルートを!」 村人たち「フルート!?」「フルートだ!」「ハーメルも追われてるぞ!」 レシク「フルートを守れ、各々方!」 村人たち「承知しました!」「ヤツを止めるぞ!」「囲みを作れ!」「鍬でも鎌でも、武器になるものを取れ!」」「女たちは剣を取りに行け!」「火だ! 火を取れ! フルート「ヴォカリーズさん! アダージォさん!」 村人たち「早くお逃げ下さい!」「ハーメル、姫を頼む!」 フルート「姫!? 姫…… 姫って!?」 村人たちが必死に農具を振るって魔物に立ち向かうが、触手の1本がフルートを捕える。 レシク「姫様ぁ!?」 ハーメル「フルートぉぉ──っ!」 村人たち「逃がすな! 姫を取りもどすんだ!」 魔物「捕まえたぞ── 姫を捕まえたぞ── 捕まえたぞ──」 そのとき。夜空に満ちていた星々の光が無数の光の粒子と化し、空中に形を成してゆく。 レシク「こ、これは……!?」 村人たち「ま、まさか……!?」「おぉっ、ホルン様の結界が!?」 ハーメル「わ、わぁぁ、わああぁぁ──っっ!?」」 途端にハーメルが激昂し、その脳裏に様々な記憶がよぎってゆく。 幼い自分が鎖に手を縛られ、誰かに引きずられていく様子。女性が箱を開き、中から無数の魔物が飛び出す光景。 ハーメル「何だ……?」 地面を埋め尽くす無数の屍を乗り越えてゆく、幼い自分。巨大な水晶柱の中に閉じ込められた美女。 ハーメル「だ…… 誰だ、これは……?」 そして、その美女がハーメルの家で、幼いハーメルにバイオリンを教えている光景。 女性の声「そう。それは、あなたの道── よく聞いて、ハーメル。2つの道は、あなたにとって……」 ベース「ハッハッハ! 消えた、消えたぞ。ついに結界が消えたぞ。これで、再び世界は我々魔族のものとなるのだ」 どこからか、バイオリンの音色が響く。 ベース「むっ…… バイオリン?」 魔物を前にして、ハーメルがバイオリンを奏で始めている。 村人「ハーメル……」「ハーメル!」 魔物「舐めるなぁ!」 そこへ、オーボゥが飛来する。 オーボゥ「ハーメル! 曲を弾き続けるんじゃぁ!」 レシク「オーボゥが、しゃべった!?」 魔物の触手がハーメルへ迫る。バイオリンの音色が勢いを増してゆく。 レシク「おぉ…… こ、この曲は!?」 オーボゥ「左様、モーツァルトの『鎮魂歌(レクイエム)』」 レシク「レ、レクイエム? 死者の霊の安息を祈るミサ曲……」 オーボゥ「しかもこれは、音楽史史上最大の天才児モーツァルトが、自らの死を予感して、自分のために書いたといわれる最後の名曲!」 魔物の触手に捕われていたフルートとレシクが解き放たれる。 オーボゥ「魔物とは、もともと魔界の力が苦しむ魂を召喚し、人間界に甦らせたもの。そしてレクイエムとは、死者の霊を慰めるためのもの。それゆえ、魔物の魂は安らぎを得て、その存在を自らかき消してしまう!」 触手がみるみる消滅してゆき、その中にいた、ハーメルたちに救われたあの老人が地面に投げ出される。 ベース「レクイエム…… フッ、気のせいか。が、ちょうどいい。まさしく人間世界への、鎮魂歌(ちんこんか)よ」 ホルン「いいえ。これこそは祝福の曲。そう、祝福してくれているのです。これから起こる戦いの中、世界の運命を左右する『パンドラの箱』! それを守る、5つの希望の誕生を……」 虫の息の老人に、フルートたちが駆け寄る。 老人「フルート姫…… スフォルツェンドへ…… は、母上、女王陛下がお待ちです……」 老人が事切れる。 フルート「女王陛下……? お母さん……?」 女性の声「2つの道は、あなたの道──」 (続く)
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パンドラ「お願い…… 箱を開いて。そしてあの人を、ケストラーを…… 箱を開けて……」 ホルン「そんな……!?」 パンドラ「お願い、サイザー……」 サイザー「私は、パンドラに…… 母に愛されていた……? なのに、なのに私は……」 夫である大魔王ケストラーをパンドラの箱に封印してしまったことを後悔するパンドラ── 終わりなき ひとつの道 サイザー「私は……」 サイザーが母パンドラに触れようとするが、限界の近づいているパンドラの体は、触れただけで霧と化してゆく。 パンドラ「サイザー…… お願い…… お……ね……」 パンドラの姿が跡形もなく、完全に消えてしまう。 サイザー「母……さん……」 ギータ「そ、そんな!?」 ベース「バカめが!」 オーボゥ「な、なんということだ……」 ハーメル「パ、パンドラ母さんが…… わああぁぁ──っっ!!」 母パンドラに一瞥もされなかったハーメルが、魔族と化した姿のまま、慟哭する。 オカリナ「父上……」 オーボゥ「オカリナ…… わしらはな、妖鳳(ようほう)の翼を持つ者は、決して大魔王を魔族どもに渡さぬためだけに存在する。なぜなら大魔王とは、魔族にとっての生命の源!」 フルート「えっ!?」 ベース「ちっ!」 オーボゥ「そう、ヤツらにとって欲しいものは、大魔王としての力ではなく、その存在そのもの。大魔王は魔族たちに生きる力を与えるエサ!」 サイザー「魔族のために生きる大魔王…… それが父上、ケストラー……?」 オーボゥ「サイザー、その箱を潰せ! その箱を! さぁ、早く!」 ギータ「黙れぇぇ!」 ギータの腕が巨大な竜のような怪物と化し、オーボゥに炸裂する。 オーボゥ「ぐおおぉぉ──っ!」 ライエル「な、何っ!?」 トロン「あれは!?」 コルネット「ひ、ひどい……」 ギータ「フフフフ、ハハハハハ!」 ベース「やはり、お前だったか。道理でわしの言うことを聞かぬ死霊がいると思ったが」 ギータ「そう、超獣王(ちょうじゅうおう)は倒した者の血を食べて、相手の能力を自分のものにできるんですよ」 オーボゥ「う…… う……!?」 ギータ「残念でしたねぇ、妖鳳王オーボゥ様。どうです、ドラム様の竜の味は?」 オカリナ「ち、父上……!?」 ライエル「やめろぉぉ!」 トロン「ギータ──っ!」 ライエルたちがギータに挑むも、次々に返り討ちに遭う。 一同「わああぁぁ──っっ!?」 ギータ「ハハハハハ! もはや私には、敵などないのですよ! ハハハハハ!」 しかし、怪物と化したギータの腕の中から、ギータに喰われたはずの幻竜王(げんりゅうおう)ドラムが出現する。 ギータ「ハハ…… は?」 ドラム「待っていたぞ…… このときを! お前の血の中で、お前が俺様を解放してくれる、このときをなぁぁ!」 ドラムがギータに突撃。 ギータ「ギャアアァ──ッッ!?」 ドラムもギータも肉片となって弾き飛び、双方とも消滅し、ボロボロのオーボゥが地面に投げ出される。 オーボゥ「うぅ……」 ベース「わきまえることを知らぬ。たかがイヌの分際で」 その隙にサイザーは、箱の蓋に手をかけている。 オーボゥ「や、やめろ、サイザー! うぅっ、お前も翼を持つ天使、我々と同じ神の使い! その使命を怠れば、真の堕天使の道を歩むことになろうぞぉぉ!! やめんかぁ、サイザー!!」 サイザー「くッ…… うるさぁぁ──い!!」 一同「……!?」 サイザー「何もかも知っていたクセに、何も教えてはくれなかったクセに、勝手だ! 勝手すぎるぞ! 都合のいいときだけ、言うことを聞けというのか?」 オーボゥ「そ、それは……」 サイザー「すぐそばにいたクセに、肝心なことは何もおしえてやくれなかった……! 誰1人として……」 ホルン「確かに、私たちには何を言う資格もないのかもしれない……」 ハーメル「……」 サイザー「ねぇ、兄さん…… そう思うでしょう?」 父ケストラーの封印されている箱を、サイザーが開いてゆく。 ライエル「だ、大魔王の……」 トロン「復活……」 コルネット「これで……」 オーボゥ「世界は…… 終わるのか?」 ホルン「それも、また……」 そして箱の中身は── サイザー「はっ……!?」 それは、鳥になれなかった鳥のように見えた 箱の中には、小さな化石のような石片。 呆然としたサイザーの手から箱が落ち、地面に転がる。一同も愕然としている。 オカリナ「サイザー……様……」 フルート「これが…… 箱の中身……? これが…… こんな、こんなもののために、私、私たち…… こんなもののために、私たち!!」 フルートがその箱の中身を拾い上げ、地面に叩きつけ、粉々に叩き割る。 ベース「ハハハハハ…… ハハハハハ!」 クラーリィ「何!? ホルン「まさか!?」 クラーリィ「ホルン様!?」 ホルン「まさか、そのようなことが!?」 ベース「さすがはホルン、気がついたか? 箱を開き、大魔王をこの世に解放したことを!」 ホルン「はっ…… や、やはり!?」 人々「ホルン様、一体どういうことです!?」 突如、ハーメルに異変が起こる。 体から瘴気が吹き上がり、顔つきがみるみる変ってゆく。 ハーメル「グウゥッ……!」 フルート「はっ……!?」 ベース「そうだ! たとえケストラー様の姿はなくとも、大魔王として受け継がれてゆく魂は滅びぬ! 再び、その魂がハーメルという体に宿り移れば、復活は成る!!」 ライエル「そんな……!?」 フルート「ハーメル!?」 ハーメル「グウウゥゥッ……!」 変貌するハーメル目掛け、オーボゥが突撃。 オーボゥ「ハーメル、許せぇ! 今ならば、わしの命と引き換えることもできよう! 許せ、ハーメル! 大魔王を、大魔王を復活させるわけにはいかんのだぁ! 死ね、ハーメルぅぅ!!」 サイザー「させるかぁぁ!!」 サイザーがオーボゥ目がけて大鎌を振るが、ライエルが精霊を放ち、かろうじて2人の衝突は避けられる。 だがトロンとコルネットもまた、涙を流しつつ剣を手に、サイザーに挑もうとしている。 サイザー「お前たち……!?」 オーボゥ「サイザー、まだわからんのか!?」 サイザー「翼を持つ者の使命、そんなものに何の意味がある? 己の想いこそが、己の想いこそが…… 私の成すべきことを決める」 ハーメルの肉体の変貌が続く。 オカリナ「サイザー様…… 泣いていらっしゃるのですか? サイザー様……」 ベース「ハハハハハ! でかしたぞ、サイザー! もはや、こんなところに用はない! 私もそちらへ行く!」 ホルン「お待ちなさい、ベース」 ベース「むっ?」 ホルン「私の息子を、返していただきます」 パーカス「ホ、ホルン様!?」 ベース「な、何ぃ!?」 ホルン「死ね、ベース!」 ホルンとベース、双方の魔法攻撃が激突。 ベース「うおおぉぉ──っっ!」 ホルン「ああぁぁ──っっ!」 一同「ホルン様!?」「ホルン様!?」 ホルンとベース、2人とも地面に叩きつけられる。 パーカス「ホ、ホルン様……? ホルン様ぁぁ!」 ベース「う、うぅ…… か、体が動かん……」 クラーリィ「ベース! 覚悟ぉぉ!!」 クラーリィがベースに挑むが、逆にベースの魔法で吹っ飛ばされる。 ベース「バカめ! こんな操り人形のような体など動かなくとも、まだまだ貴様らなどに……」 だが、ベースが肉体として操っていたホルンの息子リュートの体が、自ら立ち上がる。 ベース「な、何!? まさか…… そのような!?」 リュート「16年…… 長かった」 ベース「き、貴様……!?」 リュート「母上の最後の法力によって、我は甦った!」 クラーリィ「……リュート様!?」 リュート「母上。ただ今、帰りました」 ホルン「リュート…… 私の息子……!」 ベース「お、おおぉぉ──っ! リュート、貴様ぁぁ──っ!!」 リュート「スフォルツェンド公国、女王ホルンはただ今をもってその王座を、正当なる第一王位継承者にして我が妹、フルートに譲り渡すことを決した! さぁ、新しき女王よ! 全世界にその威を示せ! 見事、すべての不幸を断ち切って見せよ!!」 しばし呆けていたフルートが、地面に転がっていたパンドラの箱を拾い上げる。 オーボゥ「フルート……」 サイザー「そんな……!? そんなはずはない!」 フルート「ごめんね、ハーメル…… 私…… 世界を救える、たった1人の女の子なんだって」 すでに人間とはかけ離れ、完全に魔物の姿と化したハーメル。 フルートの脳裏を、ハーメルとのさまざまな思い出がよぎる。 オーボゥ「大魔王の心を、愛を奪った者こそが、開放と封印の資格を持つ」 フルート「私、今でも…… そんな姿になっても、あなたのことが大好き!」 ハーメル「グウウゥゥッ……!」 フルート「でも、私はスフォルツェンドの女王…… 世界を救える、たった1人の女の子なの」 コルネット「姫ぇ!?」 サイザー「やめろぉぉ!」 フルート「こうすれば…… この箱の中で、あなたを私のものにできる……」 箱が完全に閉じられ、フルートは箱を、愛おしそうに抱きしめる。 サイザーはトロンとコルネットに武器を突きつけられ、閉じられた箱を前にして固まっている。 呆然として一部始終を目の当たりにしたライエル。 事切れたオーボゥ、オカリナ。 スフォルツェンドではベースが、自分の操っていたリュートの手により、塵と化していた。 すべての終わったスラー島に、サイザーは1人、取り残される。 サイザー「本当に、1人きりになってしまったのか…… 復讐、それさえ私には残されていない…… さて、どこへ行く……?」 すべてを失ったサイザーが翼をはためかせ、夕陽に向かって飛び立つ。 だが、気を落とすことはない。サイザーよ。 これでいい、これでいいのだ。 すべては再び、時が解決してくれるだろう。 なぜなら、フルートが本当にこのまま、 箱を開かずにいられると思うか? そうだ。間違いなくフルートもまた、 パンドラと同じように、 箱を閉じたことを後悔するに違いない。 開こうとするに違いない! フルートは心の底から、 ハーメルを愛し続けているのだから! そのときを、そのときを楽しみに待つとしよう── ライエルは旅一座を継ぎ、喪失感に満ちた表情で、旅を続けている。 トロンは故国ダルセーニョの王となり、コルネットを妻に迎えた。 スフォルツェンド王国。女王となったフルート。 クラーリィ、パーカス、リュートに囲まれ、笑みを失ったフルートが、ハーメルの封じられた箱を前にバイオリンを奏でている。 (『ハーメル、何してるの? もう朝ごはん食べたの? お片づけやお掃除やお洗濯は、今日じゃなくてもいいでしょ? 何グズグズして…… ──あら、なぁ~んだ。お出かけの支度してたとこなのね』) 故郷・スタカット村、丘の麓の道を行くハーメルとフルートの元に、傷だらけの老人が転げ落ちてくる。 第1話とまったく同じ光景。フルートの回想か、もう一つの物語か──? フルート「きゃあっ!」 老人「う、うぅっ……」 フルート「ひどい……」 老人「あな……たは……」 フルート「しゃべらないで」 老人「も……もしや…… フ、フルー……」 フルート「ハーメル、何してるの? 手伝って! ねぇ、ケガしてるんだから早く!」 ハーメル「……フルート、俺は村の掟を守る。よそ者にかかわる気はない」 フルート「えっ……?」 ハーメル「急げ、フルート。今日は祭りだ」 第1話で老人を救ったときとは正反対に、2人は老人を見捨て、祭りへ向かう。 夜、スタカット村の広場での収穫祭。 音楽の演奏を一休みしたハーメルが、フルートともに長老レシクのもとへやって来る。 フルート「お爺さん!」 レシク「おぉ、フルート。ハーメルも一休みか?」 ハーメル「はい」 レシク「どうした、フルート? あまり元気がないようじゃが」 フルート「えっ? うぅん、そんなことないよ。とっても楽しい」 レシク「おぉ、そうかい。ほら、見てごらん」 星に満ちた夜空を、レシクが見上げる。 レシク「今夜は星が多い…… わしらの幸せを、祝福しているかのようじゃ」 フルート「本当、きれい……! まるで……」 星の満ちた夜空、それは不吉の前兆── (終)
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「諸君!決闘だ!」 ヴェストリ広場に大勢の見物人が集まる中、その中心でギーシュ・ド・グラモンは薔薇を口にくわえながら宣言した。 そこへピンク色の髪をした一人の少女が、人垣をかき分けてギーシュの前に出てくる。 「ギーシュ!やめて!決闘は禁止されているはずよ!」 その少女、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールは懇願するように叫ぶ。 しかしギーシュはそれを気にした様子もない。 「禁止されているのは貴族同士の決闘だ。平民との決闘は禁止されていない。 それにしても君の使い魔はどこにいるんだね?」 すぐに来るよう言ったはずだが姿が見あたらない。と言いつつあたりをキョロキョロと見渡す。 食堂を出ていったのを見かけたルイズも不思議に思い、その姿を探す。 そこへ周りからヤジが飛ぶ。 「逃げ出したんじゃないのか?」 「随分腰抜けだな!」 「ゼロの使い魔は、プライドもゼロか!」 ゲラゲラと笑いながらいう野次馬に、カッとなったルイズは怒鳴ろうと口を開こうとする。 しかしルイズは何かに気づいたようにハッとして、口を閉ざし辺りを見回す。 ギャラリーはそんなルイズの様子を訝しく思ったが、どこからかバイオリンの音色が響いたのを聞きつけた一人が声をかける。 「おい、この音はなんだ?」 その言葉に周りもようやく気づく。 その音色に聞き覚えがあるルイズは、姿を探すが見あたらない。 ギャラリー達も出所を見付けようと辺りを見回す。 「あ!あそこだ!」 そのうちギャラリーの一人が見付けたようだ。 広場に面している一つの塔の屋根の上を指さす。 そこにはカラスを肩にとまらせ、巨大なバイオリンを背負い、太陽をバックに曲を演奏する男がいた。 男が演奏をやめ、広場を見下ろしながら口を開く。 「すぐにその汚らしい口を閉ざすんだな。さもなくば地獄への行進曲を聞くことになるぞ」 不思議な威圧感を出しながら言う男に、周りの野次馬は口を閉ざす。 男の肩にいたカラスがルイズの近くまで飛んできて、その肩にとまる。 「ルイズ落ち着くんじゃ。いちいち反応していたらキリがないぞ。ハーメルも降りてこんかい」 「オ、オーボウ」 カラスはルイズに話しかけ、その後塔の上の男に向かって言う。 そのカラス――オーボウ――の言葉を聞き、男――ハーメル――はフッと笑い、塔から飛び降りる。 「おお!?」 「飛んだぞ!」 その行為に周りがどよめく。 ハーメルは巨大なバイオリンを背負ったまま、クルクルと回りながら塔から落下し―― どがぁぁぁ!!!べきっ!!! ――そのまま墜落した。 「うぎゃあああ!!!大骨折したあああ!!!」 痛すぎる~!と叫きながらハーメルは右足をおさえ、ゴロゴロとのたうちまわる。 そのあんまりな光景に周りはポカーンとしている。 そんな周りを無視して、ハーメルは何事もなかったかのようにマントを翻しながら立ち上がり、ギーシュに言い放つ。 「フッ、このおれが『伝説の最強最大勇者』超特大バイオリン弾きのハーメル様だ。逃げ出すのなら今のうちだぞ」 「足折れたままだぞ……?」 右足をプラプラさせ、バックにゴゴゴゴというエフェクトをつけながら言うハーメルに、見物人のひとりがつっこむ。 「ふ、ふんっ。に、逃げ出したわけではないようだね」 いろいろとペースを乱されたギーシュは、多少ドモリながら声をかける。 「怯えずに来たことはほめよう。さぁ決闘を始めようじゃないか!」 そう宣言するギーシュの声に、ルイズはハッとして止めようと身を乗り出す。 しかしそれはオーボウに止められる。 「やめるんじゃ、ルイズ」 「オーボウ!?どうして!?」 「言ったところでやめはせんじゃろう。ハーメルも一度決めたら人の話を聞くような男ではない」 「そんな!?」 オーボウとルイズが言い合いをしているのを気にせずに、ギーシュは薔薇の造花を一振りする。 花びらが一枚地面につくと、そこから煌びやかな装飾がされたゴーレムが一体出てきた。 「僕はメイジだ、魔法を使ってお相手をしよう。僕の二つ名は『青銅』、『青銅』のギーシュだ! 青銅のゴーレム『ワルキューレ』を使う!行け!ワルキューレ!」 ワルキューレがハーメルに向かって突進してくる。 「ハーメル!危ない!」 ルイズはそれを見てハーメルに声をかける。 それに対しハーメルは冷静に―― ガシッ! 「へっ?」 オーボウを掴み。 ズボッ! 「グッ!?」 ダイナまいと、と書かれた筒をオーボウの口に押し込み。 「そりゃあああ!!オーボウ爆弾!!!」 ワルキューレに向かってぶん投げた。 どがああああああん!!! 着弾し爆発をするオーボウ。 それを見たルイズはハーメルの胸ぐらをつかみ叫ぶ。 「あ、あああああんた何してんのよ!!!」 「フフフ…こんな時のために用意してあったオーボウ爆弾だ」 「アホかいっ!!」 詰め寄るルイズに、なんの悪びれもなく答えるハーメル。 「ハ、ハーメル…貴様……」 「オ、オーボウ!オーボウ!!」 「え―――い、死んでしまったやつのことは考えるな!」 「あんたがやったんでしょうが―――!!!」 ピクピクと瀕死の状態で呻くオーボウ。 心配して声をかけるルイズとそれを気にしないようにいうハーメル。 「ふ、ふふふ。こんなに馬鹿にされたのは初めてだよ」 自分を無視され、怒りにプルプルと身を震わせるギーシュ。 彼は薔薇を振り、さらに六体のワルキューレを出す。 「君は僕の全力で叩きのめしてあげよう!!」 その声と共に六体のワルキューレがハーメルに襲いかかる。 ルイズと言い争いをしていたハーメルは、その攻撃を無防備に受けてしまう。 「きゃあ!」 それを見たルイズが悲鳴を上げ、涙目になり叫ぶ。 「や、やめてえええ!!!」 「いてぇじゃねぇか!このボケえええええ!!!」 叫びながらワルキューレの一体を持ち上げ、残りを蹴散らすハーメル。 「へ?」 「バ、バカな!?」 まったく攻撃がきいてない様子に惚けるルイズと、驚愕するギーシュ。 「よくも俺様のエレガントビューチーフェイスをしこたま殴ってくれたな~。この代償は大きいぞ~。」 ハーメルは立ち上がりながらバイオリンを構える。 「この超特大バイオリンで聞かせてやる!死の序曲をな―――!!」 そう言い放ちバイオリンを担ぎ、踊り狂うように曲を弾き始める。 「な、なんだ!?ヘンテコでバカでかい楽器をマヌケに弾き始めたぞ!?」 「バイオリンだ!バイオリンにこだわっているんだ!!」 ハーメルの奇行にギャラリーがざわめく。 「こんな時にいったい何を考えているんだ?」 「でも…とても美しい演奏だわ…」 困惑するギーシュ。 マヌケな行動だが、曲は美しいというルイズ。 「マーラー作曲、交響曲第十番《大地の歌》じゃ」 「オーボウ?」 そこへいつの間にか復活したオーボウがルイズの肩にとまり、語る。 「家庭に恵まれなかった偉大なるシンフォニスト、マーラーが最後に残した曲じゃ。 これを聞いたものは、生涯で一番心に残る場面を思い出すという」 (涙が……) ルイズの脳裏に過去の情景が浮かんでくる。 魔法の練習で失敗し、怒られたルイズはベッドへ潜り込んで泣いていた。 そこへ姉のカトレアが来る。 "ルイズ、どうしたの?" "また魔法を失敗しちゃった……" 優しく声をかけるカトレア。 むずがりながらカトレアに抱きつくルイズ。 カトレアはルイズの頭を撫でながらあやす。 "気にすることないわ。あなたはきっとすごいメイジになれる。 お父様よりもお母様よりもお姉さまや私よりずっとすごいメイジよ 間違いないわ、私の可愛い小さなルイズ" (ちい姉さま……っ!) ルイズはいつも自分に優しかった姉を思いだし、ポロポロと涙を流す。 「おい!あれを見ろ!」 ギャラリーの一人が何かに気づき、指をさしながら声を出す。 その声にハッとなり、その指さす方向をみるルイズ。 「うぅ~…ごめんよ~もうしないよ~許してくれ~…」 そこには涙を流し土下座するギーシュの姿があった。 「な、何があったのかしら?」 冷や汗を流しながらルイズはオーボウに訪ねる。 「おそらく過去の所行を思い出しているのじゃろう」 「あ~…なるほど…」 おそらく過去に付き合っていた女性に浮気がばれ、怒られている所を思い出したのだろう。 そう判断したルイズはハーメルを探す。 「ほ~れほれ、頭を地面にこすりつけんか」 ルイズが見付けたのは、ギーシュの頭を踏みつけ、なぜか自身に土下座させるハーメルだった。 脱力するルイズ。 「許してください!もう不誠実なことはしません!ですから……」 邪気がいっさい無い目でハーメルを見つめるギーシュ。 だまってそれを見下ろすハーメル。 固唾をのんで見守るギャラリー。 「だぁれが許すかこのボケえええ!!!」 ハーメルは邪悪な笑顔で新たな曲を弾き始める。 「や、やめてくれ~!はずかしすぎる~!!」 曲を聞くとギーシュは全裸になり、どこからか出したお盆で股間を隠し、踊り始める。 「そ~れ、踊れ踊れ~」 「誰かやめさせろ!見苦しすぎる!!」 とても楽しそうに曲を弾くハーメル。 ギャラリーはあまりに惨たらしいギーシュの姿に哀れみをもつ。 頬を引きつらせるルイズとオーボウ。 「実は昔、モンスター相手に王宮でこれをやってな……」 「そそそそそう、ひひひひひ評判はどうだったのかしら?」 「もちろん…最悪じゃった……」 互いに脂汗をかきながら言葉を交わすルイズとオーボウ。 その二人の前では、いつまでもギーシュの裸踊りが続いていた………。 ハーメルンのバイオリン弾きから、ハーメル(+オーボウ)召喚。
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かつて──全ての魔族を封じ込めた箱がありました。それは"パンドラの箱"と呼ばれていました。長い年月によりその箱に綻びが生まれ、そこから魔族達が世に溢れ出しました…。そして人々は…“千億の絶望"に苦しめられました…。しかし―――勇者と、その仲間が現れて、世界を闇から救ったのです。 第 1 楽 章序曲 スフォルツェンド だけど―――世界を覆った闇はまだ……完全に消えてなかったのです…… 幼い少年が、巨大な怪物に追いかけられている。 「うわああ…… うわああ あっ… たっ! たあすけてェエ」 怪物の爪が少年を捕え、牙が少年に噛みかかろうとしたそのとき── 強烈な魔法の攻撃が炸裂する。 怪物はバラバラに吹っ飛び、肉片と骨の残骸と化す。 救い主が少年に微笑みかける。 前作でも登場した魔法使い、クラーリィ・ネッド。 ボクを… 救ってくれたのは… スフォルツェンド魔法兵団といいました… あれから… 10年… 「そうだっ…! トンネルを抜けると いよいよ…」 蒸気機関車が、魔法大国スフォルツェンド公国へと近づいてゆく。 主人公の少年・シェルが、デッキの窓から顔を出す。 シェル「うわぁぁっ 大きいなぁ… さすが魔法大国──スフォルツェンドだぁぁ── 先の大戦で魔族を倒して以来…… 人間界の中心となって 世界の治安を守っているだけあるッ ここから…… ボクの…運命が── 変わるんだッッ」 首から提げている裁縫箱が、かすかに動く。 シェルが裁縫箱に語りかける。 シェル「なんだい? まだ眠いのかい? ごめんね 何度もデッキに出てきてるから… でもさっ! ついに来たんだよ スフォルツェンドに… いよいよだよ ピロロ… ボクらの挑戦が始まるんだ ね ピロロ 寝ボケてないで… 出てきたらっ? ボクなんか踊り出したい気分だよ フフフ…」 声「うるせェんだよォッ!」 客室を見ると、いかつい大男が、女性客の連れている赤ん坊を取り上げ、怒鳴り散らしている。 大男「オレは赤ん坊の泣き声が大嫌ェなんだよォ! 泣くんじゃねェ コラぁぁ!」 母親「やめてください やめてェェ」 シェル「なっ」 母親「ぼうやっ」 シェル「ちょっとお…… やめてあげてください かわいそうじゃないですか…」 赤ん坊「オギャアア」 シェル「それじゃあ よけいに赤ちゃん泣いちゃいますよ!」 大男「なっ」 すかさずシェルが赤ん坊を奪い返し、あやす。 シェル「ボクがおもしろい魔法 見せてあげるよ! ボク シェルっていうんだっ!! ヨロシクね…!」 母親「マホーって あなた… “魔法使い”なの?」 シェル「いえ… 違いますけど… 今は… 何もできないけど… いつか… 必ず… 立派な大魔法使いになるんだ そのために スフォルツェンドに来たんだ!」 再び、首から提げた裁縫箱に語りかける。 シェル「ほらっ 出ておいでよっ ピロロ… みんなにアイサツ! ねェ… 赤ちゃんを喜ばせて! どうしたの? ほらっ! 早く出といでよ! 気まぐれさんだから しょーがないなー ほらっ! ピロロ!」 大男「フザケんな──っ!!」 たまりかねた大男がシェルに殴りかかり、赤ん坊が泣きわめく。 赤ん坊「オギャァ」 母親「キャアァ」 大男「黙ってりゃあっ! なめやがってぇよ! ガキがあああ この“ハンマーボルト”のブルトン様にタテつきやがってよおお!! チビめ」 ブルトンと名乗るその大男がイラついた様子で、シェルを殴り続ける。 ブルトン「おまけに… 魔法使いになるだとぉぉ ハハハ 笑っちまうぜェェ!! おいおい 魔法がどんなモノが知ってんのかよ!? そりゃああスゲェェ特殊能力よぉぉ! 全長10メートルもある巨人族すらブッ飛ばしちまうって話だからなぁ──っ! そんなすげェェことできんのはぁ 10万人に1人っていうしなぁ!」 シェルがブルトンに締め上げられ、窓の外に突き出される。 ブルトン「凡人にゃあできねェェ! おめぇにそれができんのかよぉぉ! しかも大魔法使いだとぉ? ハハハ」 乗客たち「そ… 外に…」「落ちる…ゾォォ!!」「ひっ ひどいっ」 ブルトン「その… 自慢の…マホーとかでよぉぉ この危機を…なんとかしてみろよぉぉ!」 シェル「…… ボクは… 絶対… 大魔法使いに なるんだああっっ!!」 ブルトン「けっ!!」 ♪ ♪ 乗客たち「んっ? 何かしら?」「これは?」「曲…か?」「なんとも楽しそうな…」「愉快な気持ちになる…」「踊りたくなるような…」「曲じゃのぅ…」 ブルトン「な… なんでェ… いったい?」 その音楽に合せるように、シェルの裁縫箱から小さな妖精が飛び出す。 乗客たち「えっ?」「何っ!?」「妖精!?」「妖精…だぞっ!!」「妖精が…っ」 妖精のピロロ。 2枚の翅で宙を舞いつつ、裁縫のハサミをダンスパートナーに見立て、音楽に合せて踊り出す。 乗客たち「布切りバサミと踊ってるっ!! 曲に…合わせて…」「すごい… この妖精が奏でてるのかしら…?」 シェル (違う… この曲は… 妖精(ピロロ)の能力じゃない これはバイオリンの曲… いったい誰が……?) 赤ん坊「プッ きゃっ きゃっ キャキャ…」 母親「ぼっ ぼうや…!」 赤ん坊が笑いだす。 さらにピロロは、ブルトンにも手を伸ばす。 ブルトン「お? うぉっ なんだっ……?」 シェル「!?」 バイオリンの音色とピロロのダンスに導かれ、ブルトンまでが踊りだす。 ブルトン「ぐっ… 体が ゆーこと…… きかねェッッ…! 勝手に… 踊って… ちきしょ──っ!!」 乗客たち「ワハハハッ」 ブルトン「笑うんじゃねェ──っ!」 バイオリンの演奏の主が姿を現す。 もう1人の主人公の少年、グレート。 シェル「こっ… この人が…?」 ブルトン「くっ てっ てめえかっ! ちきしょ── こんな目にっっ」 グレート「謝んな… これだけ迷惑かけてんだ…」 ブルトン「なっ ザケんな…」 乗客「うわっ」 ブルトン「オレぁ腕っぷしが自慢で通った… “ハンマーボルト”のブルトン様よぉぉ── 誰が謝るかぁ──っ」 シェル「!!」 ブルトンが殴りかかるが、グレートは臆せずにバイオリンを構える。 グレート「ベートーヴェン作曲… 《エリーゼのために…》!!」 再びバイオリンの音色が流れ始める。 乗客たち「おおっ」「なんだ」「この曲はぁぁ」「なんて… 美しい曲なんだッ」「優雅で甘美で切ない旋律」「まるで きれいなお花畑を恥じらうように歩く乙女のようだ──っ!」」 グレート「これは… ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1810年 秘かに愛したテレーゼ・マルファッティのために贈ったピアノ詩曲 ベートーヴェンからテレーゼへ… 純粋で清らかで可憐で儚くも美しいその姿を想い── 心を込めて作曲(つく)った愛情溢れる少女の曲なのだぁあ──っ!」 バイオリンを奏でるグレートの背後に、音色とともに、ベートヴェンとテレーゼの美しい情景が浮かび上がる。 シェル「(すごい… ベートーヴェンの純愛が見えるみたいだ… 穢れた心が洗われていく…… まるで… まるで…) ──! ハッ……?」 見ると、その音色を浴びたブルトンもまた、恥らう乙女のような顔つきに変貌している。 しかし体格はゴツイ大男のまま、顔だけが乙女で非常に不気味。 ブルトン「ああ… ごめんなさい…… 私がいけなかったの… ああっ 私… 今まで何…やってたんだろ… ごめんなさい みんな… ごめんなさい… でも… 私の心は今…… 雪が解けた春のように… 温かいの こんな優しい気持ち… ブルトン初めて…」 乗客たち「ひいいっ 腕っぷしが自慢の“ハンマーボルト”のブルトンがああ──っ 恥じらう乙女にィィ──っ!!」 ブルトン「あら かわいい赤ちゃん フフフ」 赤ん坊「オギャア──っ!」 母親「ひぃぃ やめてくださいィっ!」 乗客たち「ギャ──っ 逃げろぉぉ」「気持ち悪ィィ──!」 シェル「地獄絵図だな… (でも すごいっ… あんな凶暴な人を ここまで変えるなんてッ これは 魔法…?)」 グレート「おまえも… スフォルツェンド魔法学校に入るのか?」 シェル「えっ?」 (続く)
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「踊りがみたいな…」 登場作品 ハーメルンのバイオリン弾き CV TVアニメ版=上田祐司(現・うえだゆうじ)ドラマCD版=矢尾一樹 キャラ紹介ROZEN戦記では キャラ性能ステータス 習得スキル キャラ紹介 本ゲームにおいて、トップレベルのマイナーキャラと思われる。 登場作品である『ハーメルンのバイオリン弾き』は、1991年から2001年にかけて、『月刊少年ガンガン』で連載されていた作品で、初期のガンガン黄金期を支えていた作品一つ。ハーメルは、その作品の主人公。大魔王ケストラーを倒すため、仲間たちと共に旅をしている勇者である。 巨大なバイオリンから奏でられる魔曲によって、魔物たちを倒す。性格はかなりひねくれ者。救った村に法外な金を要求したり、仲間たちに爆弾をくくりつけて投げたり、幼馴染をいじめたりと、平気で非道なことを行う。しかし、実際は、誰よりも他人のことを気にかけ、平和を愛する青年。 +原作ネタバレ 実はケストラーの息子(ハーメル自身は魔族と天使と人間の混血)であり、かつて力を暴走させ、町を滅ぼしたことがある。上記の行動のギャップは、そんな過去が関係している…まあ、作品自体が、ギャグパートとシリアスパートでのギャップがすごいだけだがw ちなみに2008年から『ヤングガンガン』にて、本作終了から数年後の世界を舞台にした続編『ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~』が連載中である。 ROZEN戦記では 原作終了後の設定で登場(『シェルクンチク』との関連は不明)。 一緒に行動しているフルートは、原作において最初に仲間になった人間。エンディングにおいて、ハーメルと結婚。子沢山家族の描写がある。ゲーム内のスタカット村にいる多くの子供たちは、恐らく二人の実子。 そのためか、原作と比べ、ハーメルは落ち着いた性格をしている…かと思いきや、火事場泥棒をしていたり、食い逃げしたり、相変わらずフルートを投げたり…本人曰く「懐かしくってついやってしまった」とのことだが、なんなんだこいつは… ともあれ、第一部でスタカット村でのイベントをクリアし、第二部で窓の妖精やヤムチャを仲間にしていない状態でチャイナタウンへ行けば、行方が分からない真紅の探索と、魔物たちを操っていると思われるケイオスとの戦いに力を貸してくれる。 キャラ性能 同じバイオリン使い故か、性能は金糸雀に近く、豊富な属性と、複数の敵に効果があるスキルを多く持つ。その反面、武器の超特大バイオリンが両手持ち且つ固定装備のために盾が装備できず、通常攻撃及び防御面に若干の不安がある。なお、ミスリルバニーシリーズが装備可能なのはバグではなく、原作ギャグパートでバニー服姿を披露しているからであろう。 ステータス 初期LV 12~(ドールズ+ミーディアムのLVの平均値によって変動) クラス名 バイオリン弾き スキル 魔曲 初期ステータス HP SP 攻撃力 防御力 精神力 敏捷性 初期装備 利き腕 超特大バイオリン(固定) 逆手 なし(装備不可) 頭 皮の帽子 胴 普段着 アクセサリー メンタルリング 属性(ダメージ耐性) 半減 風 無効 なし 吸収 なし 弱点 大地 バッドステータス(状態異常) 耐性 なし 無効 なし 弱点 なし 習得スキル スキル名 習得LV 効果・特徴 消費SP ビームのレ 初期 バイオリンから放たれるレーザーが敵を焼き尽くす。目標ランダム3体に、光属性の攻撃。 8 ミサイルのミ 初期 バイオリンから放たれるミサイルで攻撃する。敵ランダム3体に炎属性のダメージ。 8 エレファントアタック 初期 フルートが敵単体を重圧で押しつぶし転倒させる。体術属性の物理攻撃。防御無視。 12 マヌケ踊り 初期 フルートにマヌケな踊りを踊らせ、敵単体のSPにダメージ。吸収属性だが吸収するわけではない。 5 カーリングアタック 14 フルートが回転しながら敵全体に体当たり。転倒の付加効果がある上、全体攻撃なのだが、やはり燃費と威力の効率が悪い。こちらも最新パッチで消費が下がった。 12 精霊の踊り 18 幼馴染のライエルによる、水属性の全体攻撃。同じような性能の技だと、スバルのリボルバーシュートがあるが、あっちと比べると消費SPが倍… 最新パッチで消費が下がり、使いやすくなった。 21 ワルキューレの騎行 21 妹のサイザーによる敵単体に連続攻撃。燃費は悪いが威力はあるため、ボス戦で使うと良い。斬っているように見えるが風属性である。元ネタはワーグナーの名曲。 25 軽騎兵 28 フルートミサイル 38 ファイナル断空砲のファ 40 中の人繋がりでダンクーガが登場し、断空砲を発射。敵全体に無属性のダメージ。燃費はやや悪い。 60 コンセントレイト 45 次のターンの精神力が倍になる 8 破壊のセレナーデ 特殊(*1) 金糸雀と契約後ハーメルが仲間にいる状態で、機動六課のフェイトに話しかけると習得する。敵全体に雷属性の攻撃で、精霊の踊りと比べるとやや燃費が良い上、威力も変わらないので使い勝手が良い。 21 瓦礫のオペラ 特殊(*1) 破壊のセレナーデと同時に習得。属性が大地になった以外は、ほぼ同じ性能で使いやすい。破壊のセレナーデと合わせ、元ネタはフェイトのバトルシーンでフェイトの中の人が歌う挿入歌「pray」の歌詞。 21 (*1) 『破壊のセレナーデ』と『瓦礫のオペラ』は蒼星石が機動六課に保護された後でないと習得できないため、フェイトを仲間にする場合は習得できなくなるので気をつけよう。